竜と人間

「リンは人の姿になれたりするの?」ある日ミスティが聞いてきた。


「絵本や小説で読んだんだけど、竜って人に化けられたりして、とっても美しい姿なのよね~」

 私をなでなでしながら楽しそうに話す。

「人になる…」

 人は見たことあるし目の前にいる二人も人だ。

 今なら二人から日々優しい気を貰って力は満たされている。スープでお腹もいっぱいだ。出来る気がする。

「やってみる」


 どうすればいいかわからないけど目をつぶってみる。

 人、人と思って体中に力を回してみた。目を開ける。

「あれ?なんか見える感じいつもと違う」

 イーサとミスティがびっくりした顔でこっちを見てた。いつもより顔が近い気がする。


「幼女だわ!子供で女の子だったのね。かわいい!!髪が素敵!晴れた日の水面みたい、でも瞳には雨の日の夜の森のような青!ほっぺすべすべ~。」いろいろ言いながらほっぺをすりすりしてくる。

「でも裸だわ。兄さん明日街に行きましょう、いろいろ買わないと」

 ということで明日街へ行くことになった。


 その日はもう遅かったので、ミスティと一緒に寝ようとベットに入ったら竜に戻ってしまった。

「ふふっ。夜はそのままで寝ましょう」とミスティが言ってくれたのでそのまま一緒に寝た。

 次の日の朝、試してみたらまた人間の姿になることができた。


「人は服を着て、身支度を整えること、裸で出かけないこと!」

「??」

 ミスティのシャツは少し丈が足りなかったのでイーサのシャツを着せられて腰を布で縛られて髪を梳いてくれた。


 イーサが私の髪を編んでくれて頭がなんだかボコボコになった。手触りが楽しい。

「兄さん、私も~」

 ミスティが言うと器用な手つきで彼女の頭も編み上げていく。

「兄さん上手でしょ。子供のころからよくやってもらったわ。私もリンにやってあげたいけど全然上手にできないのよね」と雑談してる間にミスティの髪も編みあがった。

「よしっ。おそろいね、行きましょう」


「リンは俺が担ぐからミスティは籠を持ってくれ」

「そっか、靴はないから歩けないのね。それも買わないと…」

 そしてイーサに担がれて山を下った。


 街に着いたらイーサは私と籠を交換して言った

「気をつけろよ。俺は薬屋にいるからなにかありそうだったらすぐ来てくれ」

「わかったわ、兄さんも気を付けて。靴や服を見てから薬屋の方に行くわ。終わったらご飯を食べましょう」

 そこからはミスティに背負ってもらった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る