基本的にダイナミック

朋群ほうむの獣人達の食事は、基本的にダイナミックである。箸やスプーンを使う者はむしろ少なく、基本的には手掴みで食う。


「うまうま♡」


ヤナカも、猪竜シシ肉のローストを手掴みで口へと運び、ガツガツと貪るように食った。その様子を、マヒルが微笑みながら見ている。


「ヤナカは本当にいつも美味しそうに食べるなあ…♡」


それがいつもの誉め言葉だった。


「よせやい! 照れるぜ!!」


ヤナカはそんな風に応えながら顔を逸らして、でも今度は副菜の果実をやっぱり手掴みでガリガリと食べていく。


そんな彼女の弟妹であるアケボ達も、豪快に貪る。決して品はないかもしれないが、本当に朗らかな食卓だった。


こうして食事が終わると、


「お風呂も入っていけばいいよ」


ヤナカ達の母親のアカネが、片付けをしながら、自分が使った食器を運ぶマヒルに言った。すると、アケボ達が、


「はいろー! はいろー♡」


と、やっぱり自分が使った食器を運びながらせがんできた。


「うん、分かった。一緒に入ろ」


マヒルが笑顔で返す。こうして、ヤナカの家の風呂に、アケボ達と一緒に入ることになった。これもいつものことだ。


朋群ほうむ人達は、あまり性別というものを意識しない。<発情期>というものがある種が多いことも影響しているかもしれないが、発情期以外では異性を強く意識することが少ないからだろう。


それもあって、風呂は一度に入ることが多い。なので、風呂はだいたい大きい。浴室自体が四畳半くらいの広さがあり、浴槽はその半分くらいの大きさだ。こうやって一度に入ることで時間を節約しつつスキンシップを図る。


風呂は、重要なコミュニケーションの場所でもあるのだ。


マヒルは、上は襟が大きなTシャツで、ボトムは、ハーフパンツのようなそれだった。ただし、後ろは丸く大きく開いていて、尻尾の上でベルトを止めるようになっている。基本的に下着はつけない。そもそも丈夫な鱗で覆われている体は服で守る必要がなく、着る必要もないものの、何となく気分で着るようにしてるだけである。


これは、ヤナカ達タカ人間アクシーズも同じ。全身を羽毛で覆われているので、別に着る必要もないのだが、毛皮や鱗や羽毛を持たない、いわゆる<人間型>の朋群ほうむ人が服を着るので、何となくそれに合わせているだけというが実情だった。


こうして皆で風呂に入り、


「ぎゃーっ! ぎゃーっ!」


「きゃはははは♡」


楽し気にはしゃぐアケボ達を一人一人つかまえて、マヒルがたっぷりと泡立てた手で洗っていく。


「にゅふ~っ♡」


それが気持ちよくて、アケボ達も満足げなのだった。


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