Day5
季節は夏。太陽が真上に上っている真昼、一匹の猫が暑い日差しを避けるように路地裏を歩いています。もちろん田中家の癒し担当、茶々丸です。
「ミャー」
日陰といえども真夏の昼間です。暑いを通り越して熱いので、心無しか足取りは重いように見えます。
「ミャ?」
ヨロヨロ歩いていると、目の前に虹色の渦が急に現れました。
「ニャニャ〜」
首を傾げましたが、そのまま入ってしまいました。暑さで正常な判断が出来なくなるのはどの生き物も同じなのかもしれませんね。
「ミャ?」
渦を通った先はお城のような場所です。お城と言っても和風の、所謂天守閣のようなものですが。
「む、猫か……迷い込んだのか」
「ニ゛ャォ」
ちょんまげの男が縁側でお茶を
「天下統一のための戦があるというのに、呑気なものじゃな」
「ミャ〜?」
過去に
「どれ、こっちに来なさい」
「ミ゛ャー」
暫定家康が茶々丸を持ち上げ膝に乗せます。
「お主も戦に行くか?」
「ミャー」
「冗談じゃよ」
「ミャー」
この時代は馬での移動なのでそもそも無理でしょう。戦に行くのに籠を使う訳にもいきませんし。
茶々丸は適応してきたのか、呑気に寝始めました…………
「ミャッ!?」
「ミャ〜〜」
!? また寝てしまいました。どこか悪いんでしょうか。心配になってきました。
「ミ゛ャ……」
「フミャ〜〜〜〜」
また丸一日寝ていました。本当に大丈夫でしょうか?
「ミ゛ャーーーーーー」
急にどうしたんでしょう。何か前足を上げて勇者の青い光を発し始めました。
「ミ゛ャッッ!!!!」
????????
「ニャハァ……」
テクテク
えーと、茶々丸が過去1番青く輝かせた爪を振るうと、空間が避けるとしか言い表せない現象が起きました。そして疲れながらも裂け目を
わーカンカンカンカン! やー!!!!
潜った先は戦場です。これってもしかして……
「ミャー!」
走り出しました。馬と馬の間をスイスイ抜けていきます。
「ニャー!」
一体どこを目指しているのでしょうか。
「家康! 覚悟っ!」
「何ッ!?」
「ミャッ!!」
スパン
「グハッ」
綺麗な断面ですね。どうやら徳川家康の命を救ったらしいです。タイムパラドックスなどがどうなのか、元々茶々丸が助けるのが正式な歴史なのか、疑問は残りますが、どうやら今回の冒険は終わりのようです。
虹色の渦が再び現れました。
「お主は……」
「ミャオ」
戻ってきました。時間帯は夕方です。2日も家に帰らずに田中一家の皆も心配したでしょうし、今日はいっぱい甘えてあげてほしいものですね。
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