第13話 初撃は、目からビーム!!




「でさ、提案なんだけど」


『なんでしょう』


「そろそろさ、このロボットとナビ子さんに名前付けない?」


『……よろしいのでしょうか?』


「よろしくもなにもないよ。相棒だろ!」


『ありがとうございます……。AIとして嬉しく思います』


「凄い表現だね」


『恐縮です』



 照れてるのかな?


 でもいいさ。だってここから、格好良い戦闘が始まるわけだし、そうしたらもちろん。



「格好良い名乗りは、当然だろ?」


『全くの同意です。本当に趣味が合って、驚いています』


「だろ」


『では』



 というわけで、橋をぶっ壊す、いやさ消滅させる攻撃までの時間、俺とナビ子さんは名前について話し合うわけだった。



 この惑星の、衛星軌道上をゆっくりと漂いながら。



 ◇◇◇



『さて、そろそろお時間です』


「うん、名前が決まって良かったよ」


『格好良くキメてくださいよ?』


「そっちこそ!」



 すでにこっちは、射撃位置で静止衛星状態で待機中だ。準備は万端、後は撃つだけ。



『準備は整っています。後は覚悟だけですが、再確認です。よろしいですか?』


「……ああ、ここで撃たなかったら、何しに来たか分からないだろ。どうせこの戦闘は、誰も死なない」


『ええ、この機体の格好良さを見せつけるための、言わば自己顕示のための戦闘です』


「そうだよな。じゃあ、迷う事なんて何もない。見せつけてやろうぜ、相棒!!」


『了解。射撃位置固定を再確認。誤差修正開始。各種パラメーター入力。428、671、839、999。誤差修正完了。トリガーをそちらに』


「受け取ったよ。カウントダウンよろしく」


『68から開始します。67、66……』



 胸が痛い。同時に胸が高鳴る。緊張と期待が膨れ上がる。こんなに高揚したのって、前世と今世を併せてあっただろうか。



『両軍の戦闘機動を確認。予測範囲内。このまま行けます。よろしいですね』


「了解! カウントダウン継続してくれ!」


『32、31……』



 マップでは両軍の騎体が急速に動き出す光景が映し出されている。結構整然としているな。練度は充分ってか。ヤルじゃないか。



『12、11、10……』



 指はトリガーにかかっている。というか、そういうイメージだ。いかんせん思考制御だけにそういうことになる。



『5、4、先行フェイズ開始、弾体形成開始、完了』



 目の前に、まさに目の前で、高熱で圧縮された重粒子の弾体が形成された。



『2、1、どうぞ』




「目から……、ビーーームッ!!」




 ピンク色に光る弾丸が、目の前から、地表に射出された。



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