第12話 攻撃後環境アセスメント
『方針提示をお願いします』
「ああ、まず対象は例の戦争だ。アレを止める」
『対象戦闘予測マップを適正判断の上、提示します』
「さっすが!」
全球マップの一部が平面に展開されて、戦域情報が流れ込んでくる。
なるほど、まだ、戦闘にはなっていないみたいだ。だけど、衝突はそう先でもなさそうだな。両国国境の緩衝地帯に差し掛かったくらいか。また、随分と真正直な戦争だ。時代なのかな。
『現地呼称、ラウダネル河を挟んでの戦いが予想されます。要衝は、いちおう中立河川橋、ラウダネルスの取り合いになるかと』
「うん、俺もそう思う。けど、ラウダネルって跳躍機動でも越えられるよね?」
精霊騎の跳躍能力なら、たしかあの川は飛び越えられたはずだ。
『そうですね。ですが、跳躍中はマトになるのも当たり前ですので、折り合いをつけた戦術が予測できます』
だよな。真正直に川を飛び越えるよりか、橋を抑えた方が安定して対岸に渡れるだろう。結局、ソコを抑えられるかどうか、って感じになるのかな。
ならば。
「橋を無くそう。それで、一旦は止まるだろうし。戦術が壊れる」
『そんなことをしなくても、まあ、止められるわけですが。まあ、せっかくですし、アルファンドの案を支持いたします』
「ありがとう。んで、その手段なわけだけど……」
『お待ちください。アルファンドはこの惑星に対して、永代に渡る被害を望みますか?』
「え? そういう話なの? 橋一つを落とすだけの話なんだけど」
『では。攻撃後環境アセスメント開始。地下水流モニタリング。地形変化による大気流、気候変動予測開始。完了。許容範囲内の打撃エネルギー算出』
「何してるの?」
『戦術威嚇射撃後の環境変化予測です。この戦いと後の世代とは別問題だと判断しました。攻撃手段はどういたしましょう』
「どうしましょうって、ええっと、そうだね、両軍をビビらせるような、目立った感じのがいいかな、何となく」
『では、高熱圧縮重粒子ビームを選択します。目立ちますよ。色はどうしましょうか?』
「そりゃもう、ピンクで」
『ですよね。アセスメント続行。攻撃当該影響範囲内に希少生物等、レッドリスト消滅の可能性極少。環境変異、人類の常識での許容範囲内に設定』
どんな許容範囲内なんだか。
『攻撃後の地形変化は、ラウダネルス橋の消滅、並びにそこを半径とした230メートルのクレーターが生じます。流入水により、最深部が約38メートルクラスの池? 湖? が出来上がりますね。呼称、ラウダネルス湖でどうしょう』
「うわぁ、湖に名前つけ終わったわけかあ。いいけどさ。で、攻撃した時の衝撃波とか、破片とか大丈夫?」
『もちろんそちらも予測します。攻撃推奨時刻まで、28分プラスマイナス42秒』
「結構あるね。じゃあそれまでどうしよう」
『雑談でもします?』
「いいね!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます