第10話 戦争を終わらせよう




 さてはて、とりあえず、機体の各所に小さく赤文字で、『GX-0078-002X』と『BZE00467』と印字していく。それっぽくなったかな。現実逃避だ。



 それで、これからの事なんだけど……。



 ほんと、勢いで出撃して、合体して、メインエンジン点火までやってしまったわけだ。どうするよ、この後。


 とりあえず、あの父親にはざまぁああ、くらいはしてやりたいし、兄貴にしてもまあ近い。



『お困りですか』


「うん。困ってる。勢いで精霊騎と戦うとか、ざまぁしてやるとか、合体の途中で言っていた記憶はあるけど」


『はい、ログに残されています』


「そういうの消してよ。領域もったいないからさあ」


『大丈夫です、多世界接続が確立していますので、超銀河団フィラメントレベルで記憶領域は確保されています』


「すっごい高性能だよね。素直に凄いと思う……」


『ありがとうございます。それで、今後の行動方針を』



 このまま地上に降りて蹂躙とか、ここから全部を狙撃して撃破とか、出来そうなんだよなあ、このロボットとナビ子さん。



 ちょっと待て。俺の目的ってなんだ?


 精霊騎に乗りたい、じゃなかったか? もうそんなの叶っているじゃないか、しかも精霊騎よりもっともっとオーバースペックのやつ。


 じゃあ、どうする?


 戦うのか? 人殺しするのか? そもそもどっちの国の味方して。俺を放逐した親父のいる国、それと敵対している国。どっちが味方でどっちが敵だよ。



『……どちらでもよろしいのではないでしょうか』


「どういうこと?」


『アルファンドは既に力を手に入れています。どちらの敵になっても、味方になっても、そして両国の敵になっても問題はありません』


「俺、虐殺趣味ないよ!?」


『申し訳ありません。わたくしは破壊を基本として思考してしまうので、そういう言い方になってしまいました。表現を変えましょう。貴方は自由です。貴方の為したい事を為すためにわたくしは存在しています』



「そっか。そうだよな。んじゃさ、戦争終わらせようか」



『命令をいただきました。当機体と各種監視衛星による光学、音響、ニュートリノ、モノポール、全センサー始動』


「お、おいおい、なに始めてるの?」


『この惑星の全ての精霊騎を探索、特定します。情報はわたくしが採取します。判断は、アルファンド、貴方のものです』



 そうくるかあ。うん、いいよ。やってみるか。



「じゃあさ、戦争終わらせて、親父をぎゃふんと言わせて、王様に堂々と謁見してやろう」


『いいですね、付け加えたら……』




「『格好良く!!』」



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