第4話 合体シークエンス、準備完了!!




『発進と同時にカタパルト形成継続。しばらくは洞窟内を通過することになります』


「あのさ、さっき発進って言葉、否定されて気がするんだけど」


『キメ言葉と、通常の言葉、違いは分かりますか?』


「すんごい分かる。いやあナビ子さん、分かってるわ」


『ありがとうございます』



 今、俺は洞窟の中をコアユニットを駆って駆け抜けている。問題なのは、この洞窟が妙にグネグネしているあたりだ。


『仕様です』


 仕様かあ、仕様なら仕方ないな。


『もうしばらく、後34秒で水中に入ります』


「水中って、大丈夫なの?」


『ご安心ください。水中にはパイプを通しますし、残存エネルギーで開閉機能を付加します』


「分かるよ! すっごいよく分かるけど、いいのそれ? 水中のゲートから飛び立つのって、本体の方じゃないのか?」



『オリジリナリティ、です』



 というわけで、俺と、俺を載せた機体は、なんか綺麗に裂けた湖から、華麗に空に飛び立ったのだった。



 ◇◇◇



『ああ、聞き忘れていました』


「えええと。その、AI的その存在が聞き忘れるとかいいの?」


『ファジーという単語をご存じですか? 一時期流行ったのですが』


「そうきたかあ。で?」


『大きくて強いのと、小さくて強いの、どちらがご希望でしょうか』


「うーん、これから精霊騎をぶちのめすわけだよね」


『恒星間戦や惑星破壊戦でない限りは、小さくて強いのを推奨しますが、どうしますか?』


「うん、小さくて強いのでお願いします、ガチで」


『では12メートルクラスで設定を行います』


「あれ? 精霊騎って18メートルくらいじゃなかったっけ。いいの?」


『もともと、性能差など話にもなりません。ですが、小型機が大型機を倒す、格好良いと思いませんか?』


「ホント、ナビ子さんは分かってるなあ。ところで武装とかはどうなってるの?」


『お望みのままに。どうせ素手でも勝てますが。格好良くやりたいのならば、幾らでも武双は創造できますよ』


「いいの?」



『はい。搭乗者が想像し、わたくしが創造する。それが当機の基本システムですから』



 凄いな。


 なんて会話を交わしている打ちに、洞窟を抜け、なんか透明のチューブを抜けて、コアユニットは空に飛び立った。結構、Gがくる。


『申し訳ありません、慣性制御は主機発動までお待ちいただきたいと思います。では、いきますよ!』


「何が!?」




『合体シークエンスです!』




 空から、赤熱する何かが堕ちてきた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る