作家志望ではないのかもしれない。
作品を入賞させようと努力している訳でもない。世の中の潮流を眺めようとして、その側にいる群衆に
だとすると、やはりおかしいのだ。それならなぜ大学に進学したのか。なぜ高校を無事に卒業できるまでに至ったのか。さらに言うなら、どうして僕は毎日三食欠かさずに食べているんだ? もっと根源的な部分にまで突入していくとしたら、最後にはなぜ存在しているのか……それは、自分という一人から、やがて空間に主題が
そこで文筆に至らなければ、一体いつ、これ以上に良い機会というものが訪れるというのか!? そして、僕はそのような意欲溢れる求道者ではないから、その良い機会というものを掴み取る事は決してないのだ。だから、作家志望でなければ、活力ある生者でもなく、この世からただ薄れていくだけの臆病者なのだ。まだ、死んでいないだけだ。これを生きているというのは、本当に生きている人に失礼だろう。さて、それはどのような人であるのか?
真実というものは、それ以外のものを虚構とするのだ。そうでなければ、真実は他の情報と区別できないからだ。真実というものは、それだけ個性を持たない情報なのだ。だからもてはやされる必要がある。正義には、常に不正が必要なのだ。一位には、常にそこに立てなかった者達の影が連なっているのだ。僕には何が必要なのだろうか。僕にもやはり僕でないものが必要なのだろう。そこには他者がいなければならないのだろう。なら、孤独である以上、僕はやはり死んでいなければならない筈だ。死んでいなくとも、存在できない存在でなければならないだろう。ひょっとすると、作家志望ではないのかもしれない。
だとしたら、僕は何者だ? 僕は大学生だ。それ以上には? 僕は健康体だ。僕は孤独だ。僕はここに生きている筈だ。だからなんだというのだ? 全くもって必要性に欠けている。それでも生きている。何かを書き連ねている。それが何であるのか、未だに分かっていない。おそらくは、僕が本当に死体となって発見されても、価値のあるものとは捉えてもらえないだろう。それが作品であるのか、単なる愚痴の
それでも、誰かが僕を作家志望と認識するかもしれない。世間に触れようとしなかった文章の数々に目を通して、人に知られようと思っていたと、都合の良い解釈をしてもらえるかもしれない。そこまでしてやっと認識されるくらいなら、期待なんてさせないでくれ。初めから、夢なんて追わせないでくれ。それじゃあ甲斐がないじゃないか。甲斐がないってことは、意味がないってことだ。それがいちばん辛いんだ。
じゃあ、どうしてこんな事をしている?
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