///   18日目 ルナ視点

ニルスはうまくやってるかな。

丸1日たった。

すると、トステじゃない人から連絡魔石が反応した。

『ルナ様でいらっしゃいますか?』

「るなだよー。」

『ニルスと電話連絡をとり、これから国王と共に電気と機械の国に参ります。

ルナ様もご一緒していただけますか?』

「居たんだね。」

『はい。生きてらっしゃいます。

今は安全な場所で療養しているとのことです。』

「よかったー。今から行くのー?いくいくー。

と、りょうようって、療養?

まってまって。病気なの?」

『報告によれば、ニルスが到着した当日に倒れられたとか。原因などは調査し、証拠や資料も集め終わったそうです。』

「何かしたんだね。それで、ぼくは君たちを殺させないようにすれば良いってこと?」

『はい。基本的には国賓の魔素除去はされませんので安心してご入国ください。

万が一除去されても、ルナ様に魔珠まじゅを追加してから行きますので、現地で数個割ってください。勿論お代はこちらで負担いたします。』

「8個割っていい?」

『まずは4でお願いします。あの方まで巻き込んでしまいます。』

それはよくない。

「わかったー。」


久々に油臭い国に行く事になった。

トステにも伝えたら、暴れても良いって言ってくれた。




予想を越えたきたなさだ。

日に日にひどくなるな、この国は。


到着してすぐに鼻が曲がりそうになったのでマスクをした。

目もしょぼしょぼする。


結局、魔素をとることになった。

護衛とぼくだけ専用の部屋に案内された。

護衛から魔素とるなんてなかなかだなぁ。


かなり長い時間がかかった。お詫びの肉串を食べていたら、ニルスが迎えに来た。

「ルナ様!助かります!

早速ですが会議室までお願いします。」

早く無事なところが見たかったけど、ちゃんと助けたいから頑張ろう。

おとなしくついていった。




会議では言い訳合戦をしていた。

そこでニルスがこの国での聞き取り調査や書類を纏めて大きな布に映した。

ニルスは電気機器も使えるのか。とてもすごい。


文字の資料が終わると、どんどん酷い画像が出た。

最初に保護されたという部屋は牢屋みたいだし、番号で区別して、やってない罪で罪人に仕立てて。

そろそろたまを割ろうかと準備したら、護衛さんが待てとジェスチャーしたので待った。ぼくえらい。


最後に気持ちの悪い部屋が映された。

こんなところで働かされていたのか。


「し、しかし勤務内容はいたって簡単で、本人の同意を得ており。」

「同意?魔女の家に向かう途中だと言っているのに何故働かせたのですか?」

「会議の結果そうなりました。」

「それは同意を得ていないのでは。」

「してもいない罪をでっち上げた件は?」

「仲介したのは該当職員の勝手な行動ですので、こちらで厳罰に処します。」

「これ以前から漂流者を罪人に仕立てあげていますか?」

「海流の関係で、来ようと思って来ない限りこの国には来られないはずです。」


何問も続き、怒りが少しだけ薄れるくらい眠くなってきた。


「罪人を門番にするのは……」


話もそれてきてる。


「あのー。結局、ぼくの大切な人に酷いことしたんだよね?

報告されても気づかなくて、調査もしなかったんだよねぇ?」

「なんだね君は!護衛が口を挟まないでくれ!」

首相がさすがに「あっ。」と声を出した。

マスクをしているとはいえ、白い小さい獣人。特徴的だし――

「ルナ様、もう少しで終わりますが我慢なりませんか?」

名前も出せばわかるよね?

「がまんならないー。」

マスクを投げ捨てて魔珠まじゅを4つ割った。

一気に魔素が膨らむ。

「ねぇ。素直に謝れば次に割る4個を止めてあげても良いよ?」

魔素に疎いこの国のひとでもわかってくれたらしく、わかりやすく怯えていた。


「ぼく、魔素の除去されたんだよねぇ?護衛だと思った?」


「ち、ちがうんですか?」


「ぼくは怒りに来たただの魔獣だよ。」


追加で2つ割った

体が大きくなる。人の部分は消え、天井に頭をつけるほどになり、まだギチギチと膨らむ。


「どうでしょう、素直に謝られては。」

国王が提案した。


ぼくとしてはこのまま全部潰しても良いんだけど、全員一斉に謝り、今回の罪人を全て調査し直し、門番のシステムを提案通りに変更すると約束した。


「この件で戦争になったら、ぼくはこの国を先に滅ぼすよ。」

護衛さんが魔珠まじゅを持ってきてくれた。

4つつけ直す。


大きさが戻ったが、まだ2つ分の脅威は残ったままだ。


ニルスは、戦争を起こしたらどちらも滅ぼすというぼくの意志をちゃんとわかってくれたようだ。


このあと、うまい具合におさめてくれた。


久々に大きくなったから少し疲れた。

あの子にはすぐにでも会いたかったけど、一度やすもう。



夜はニルスの泊まるホテルに泊まった。

「この国、ちからぬけるー。」

「汚染されて魔素が壊れやすい国なので。……干し肉いりますか?」

「食べる!」

ニルスがくれた干し肉は魔素がたっぷり入っていた。

「こんな国に魔素なしで入れるわけないですからね。」

ニルスも干し肉をかじっていた。







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