///   14日目 ルナ視点



トステに細かく連絡しすぎて怒られた。

夜になっても、まだ来ていないようだ。

『あの子、腕力も体力もないから時間がかかってるのよ。海流は家に向かってるから……わざわざ違う方向に漕がない限りは無事な筈よ。』

「うん……お腹空いてるかな……フィッシュサンドだけじゃ足りないよね。」

『そうね。たくさんごはん食べさせたいわね。』

「腕、疲れてるだろうからいっぱい揉んであげよう。」

『アンタの馬鹿力で揉んだら折れるわよ。』

少しだけ笑ったが、不安でいっぱいだった。

小さいボートで……魔石コンパスと地図だけで……あれ?

「とすて。わたされたの、……魔石のコンパス。」

『は?』

「魔石……!コンパス魔石だったよ!あの人、コンパスなしだよ!」

連絡している隣に居たニルスが驚いて立ち上がった。

「コンパスが魔石式!?……たしかお客人は」

「反発体質ー。下手するともうコンパス動いてないよー。あの辺の海は魔素もないんだよ。どうしよー。」

『海流に逆らってないことを祈るしかないわ。』

「流されてつくのってどのくらい?」

『2日……。明日の夜についてなかったら……見当違いの方向に漕いで別の海流に乗ってることになるわ。』

急いで窓を見ると、真っ暗。

明かりもなく、暗い海で、コンパスもなくて。

「ごはんもたりない。ひどいよー。」

ぼくは、想像して泣いてしまった。


ごめんね。ごめんね。


『今日は寝なさい。捜索ってことになったらたくさん動かなきゃいけないから。』

「うん……。」

ニルスにお水を飲まされて、落ち着くために夜風に当たった。


月が青白く光っている。


星空は見えているかな。

目的地が月みたいに光っていたらつくかな。

がらにもなく、空に祈った。

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