/// 13日目 ルナ視点
どうしたら良いかわからず、「大丈夫」とボートに乗るのを見送った。
ぼくは気が動転して、足の
この時にトステの名前を出したら良かったのに。
「助けにいくから!魔女の家だよね?」
「うん。地図もコンパスもあるし、頑張るよ。」
無理して笑っているように見えて、飛び込んで追いかけたかった。
でも、トステの言う人に話して欲しいと頼まれたし……と、悩んでいる間にボートは見えなくなった。
波にかきけされたみたいで不安だった。
「ぼく、やっぱりいく!」
「駄目です!ボートなしでは危険です!」
船員さんの話だと、海流は強めに魔女の家に流れており、漕がなくても魔女の家につくらしい。
それなら大丈夫なのかな。
その時、その話をあの人にしてないことに気づけたら泳いででも追いかけたのに。
たくさん、気づける場所があったのに。
後悔ばかりだ。
船が到着してすぐに、船長が謝りに来た。
「説明した通り、先方に兵器ではない証拠を提示できず……攻撃準備に入っていたため……。船の安全のためとは言え、本当に申し訳ないことをした。」
「攻撃するって言ったの誰?」
「えっと。それは。」
船長が困っていると、計測器をもった魔法学の国の人が来た。
「兵器を降ろしていただいたようで、ご対応ありがとうございます。」
「兵器じゃない。」
ぼくの声に、目の前の大人たちは少し体を震わせた。
「降ろしたのは、ぼくの大切な、守らなきゃいけない人だ。無事じゃなかったらこの国を滅ぼすからね。」
唸り、毛を逆立たせると、偉そうな人は1歩下がった。
「あんな、異常な数値を検知したら誰だって怯えますよ!こっちは国民の安全のためなんです!」
「どうだっていいよ。無事じゃなかったらやるだけだから。」
揉めていたら、もう1人来た。服装がもっと偉そうだ。
「何の話ですか。兵器輸送疑惑とか物騒な報告をしたのは貴方ですか?」
「はい!みてください!計測値がこれです!!
なのに、そのまま船を届けなかったから国を滅ぼすとか言われて……。」
後から来た人がぼくを見て顔色を変えた。
「白い……小型獣人……ッ!?ル、ルナ様ですか?」
「ルナだよ。」
「ご連絡いただいていたお連れの異世界人は……。」
「お前らが海に降ろした。」
その場にいる人がようやく理解したらしく、全員青ざめた。
「申し訳ございません!私、ニルスと申します。
すぐに連絡石をお持ちします。」
「一緒に行く。」
「はい!」
そのまま、ニルスと連絡ができる場所まで来た。
トステは声だけでも怒りが伝わった。
船長、観測長も呼ばれこってり絞られた。
『客を守らなきゃならない立場でどうして客を海に放り出せるの!?一度引き返すとか違う港につけるとかあるでしょう。
観測長、数値に驚くのは仕方ないわ。
自国を守るために相手の言い分を鵜呑みにしない、それもまだわかる。
だけどね、兵器を海に捨てろ?おかしいでしょ。
そんなもん海に捨てるんじゃないわよ。
乗客が多く乗ってるのに兵器を降ろさないと攻撃?野蛮すぎるわ。
せめて海で待たせて私を呼ぶとか、ニルスを待つとかあったでしょう。』
次はぼくの番かな?
『私も悪かったわ。臨時寄航の時にもっと詳しく話すべきだった。ごめんなさい。』
「とすて、ぼく。」
『ルナ、パニックになったでしょ。
その状況じゃ仕方無いわ。あのこの安全のためにボートに乗ることを選んでも、あの子を早く帰すために、国に上陸することを選んでも……どっちも失うものがあったわ。』
まず、ボートで魔女の家に1日で行くには休まず漕がないといけない。漕がなくても強い海流があるため、2日以内には着く。
さらに、魔女の家から魔法学の国へ行くには陸路と沼地を通らねばならない。
あの人の体力を考えたらかなり厳しい道のりだそうだ。
魔法学の国から行く場合はドラゴンに乗ってその日のうちにいける。
『あともうひとつ、研究所の爺さんに早く会いに行きなさい。話を早くつけないと面倒になる。』
「わかった!」
ぼくはニルスに頼んで、研究所に向かった。
研究所にはよぼよぼのお爺さんが居た。
「ルナ様かー。久しい。」
「だれだっけ。」
「トロンだ。」
トロンって名前のおじさんなら知ってる。
あ、人間だから老けたのか。
「しわしわになったねー。あのね、異世界の人がきたの。」
「おー。生きてるうちにまた来たか。なら、やることは簡単だ。」
トロンは本をたくさん出した。
「砂漠の巫女、あいつには翻訳魔法が使えないからな。えーっとこれを……。」
「トロン、砂漠まで一緒に来れる?」
「弟子を育てた。そいつを連れていけ。
スケジュールを調節しなきゃならん……7日貰えるか?」
「わかった。
こっちも今すぐしなきゃいけないことがあるから、すませてくるね。」
トロンはきょとんとしている。
「何を怒っている?」
「ぼくがぼくに。
トステは怒ってくれなかったけど……時間がかかったって守るべきだったんだ。」
その後、トロンに聞いてドラゴンを出して貰える所まで行った。
国のミス、ということで無料で貸し出してくれるらしい。
ニルスはすぐに行ってもボートが到着するのは明日か明後日だと言う。
「行って待つ。」
「いえ、ドラゴンが飛ぶと波が荒れてしまいます。魔女の家に人が立ち入るとトステ様に伝わりますから、それを待ちましょう。」
待てないけど、待つしかないのか。
唸りながら仕方なく我慢した。
「ルナ様?まさか
「わすれてた。」
そこでやっと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます