14日目

身体中筋肉痛だ。


拾われたあと私は尋問され、荷物も見られた。

折り畳み傘2つ、仕事道具(筆記具、作画用紙など)いつくかの手帳、換金用の宝石、スマホ、タブレットPC、充電コード、救急セット、ハンコ、通帳。

通帳まで持ち歩いてるのは危険かと思われるが、違うんだ、間違えて鞄に入れてしまったんだ。

あとはトステさんに貰った翻訳腕輪、魔素吸収手袋、魔素霧散ナイフ。


「翻訳機にかけてますから、普通にしゃべっていただいて大丈夫ですよ。」

たすかる……。

「えーと……異世界島に転移?してしまった、異世界人です。日本から来ました。」

「ニホンね。ニホンの方は何回か来られた記録があります。うちの国に文明が近いみたいですね。あなたを拾ったのは?」

「異世界島のトステさんです。魔法学校がある国に行く途中で、私の体質のせいで船からおろされました。魔女の家にいくように、コンパスと地図も渡されました。」

「……コンパスは魔力切れしているようですね。

体質と言うのは?」

「魔素を弾いちゃうらしくて……その腕輪と手袋をしてやっと翻訳魔法が動く状態です。」

「このナイフは?」

「トステさんが護身用に作ってくれました。獣に襲われたらそれで刺せば失神すると。」

急にヒソヒソと翻訳機を外して何かを話した。

警戒しているのだろう。危ないから仕方ない。

「この道具はあなたにしか使えませんか?」

「翻訳腕輪や手袋なら誰でも使えると思いますが、ナイフはわかりません。」

尋問している人はドアで警備をしている人に合図をして、黒いネズミを2匹持ってこさせた。


やって見せるように言われたので、私は1匹のネズミを軽く傷つけた。

ネズミはあっという間に失神した。

同じように、尋問していた人が手袋をはめ、ナイフでもう1匹を傷つけた。

ネズミは興奮して暴れている。

するとまたナイフを渡された。

私が手袋をはめ、ナイフを持つと、今度は持っただけなのにネズミが失神した。

「あなたでないと扱えないようですね。

危険なのでまだ暫くは荷物を預かります。

こちらの武器と宝石以外はお返しします。」

欲しいやつだけとられてしまった。


そのまま、窓に鉄格子がついた部屋に入れられた。

トイレも室内だ。トイレつきはたすかる。

スポーツドリンクっぽいのとカロリーメイトみたいなやつを渡されて、それを食べながらなんとなく、今日のことをメモした。

腕はパンパンだけど、やることが無さすぎて。


ルナくんは無事に辿り着いただろうか。



ふて寝していたらノックされた。

何時だろうか。

返事をしたらドアが開いた。

立っていたのは無愛想なムキムキマッチョマンだ。

乱暴に首輪を渡された。拾い上げると、つけろというようなジェスチャーをした。

「どうだ?」

つけてスイッチを押すと、相手の言葉がはっきり聞こえた。

「聞こえます。」

「魔素反発体質と言っていたらしいな。電気は大丈夫か?」

「元々電気中心の世界に居ました。」

「使えるなら良い。これから会議をしたあと、問題がなければお前に合う仕事をすすめる予定だ。

時計は読めるか?」

男が見る先に時計があった。

数字は読めないが……。作りがアナログ時計と同じだ。

「これがもし7時なら、読めてます。」

「上等だ。風呂は9時だ。呼ばれるまでおとなしくするように。」

ドアが閉まったあと、はめた首輪を撫でる。

これ、爆発したりしないよな?


その後、特にすることもなく、風呂にはいって、髪を乾かして寝た。






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