第4話
エレベーターに乗りこんだミナト達はニシヤマに追うように上がっていく。
良いマンションだけあって、エレベーターの上がる速度が速い速い。
「節約家のオオダドンは、こんなマンションに住んでみたいとおもう?」
「え、高層ビルに魅力なんて感じないよウチ。
部屋の広さはそこそこに欲しいとは思うけど、ここまではいらないかなぁ。
家賃より他の事にお金を使いたい派だから。」
そんな夢の無い会話をしているとエレベーターの扉が開いて、スタンバっていたニシヤマ達が露わになる。
部屋まで後少し、引継ぎ4人で力を合わせて廊下を進んでいく。
運よく、廊下で他の住人に遭遇することもなく無事に部屋の前についた。
ニシヤマがチャイムを鳴らすと、扉が開いてニシヤマの奥さんがお出迎えをしてくれる。
「お久しぶりね、ミナトちゃん。」
「ご無沙汰しております、ママさん。」
ニシヤマの奥さん…ママさんとミナトは軽く挨拶をしたが、他の人の迷惑になるから早くとニシヤマに急かされて作業を再開。
お高いマンションとはいえ流石に玄関はそこまで大きくなく、ピッチピチになりながらマッサージチェアを部屋まで押し込んでいく。
不意にオオダの胸がミナトの腕にぶつかる。
「っと、ごめん。」
「女同士なんや。
かまへんかまへん。」
ぶつかってしまった反射で謝罪をしたミナトにそう返事したオオダ。
なんとも男前なお言葉だ。
などと考えていると、カワノの顔が視界にはいる。
露骨にうらやましそうな表情を浮かべていた。
思春期の少年かよ!!
そこは隠そうとしようよ。
そんなこんなで、目的の場所まで運ぶと先に昼食にしようとママさんがお弁当を用意してくれた。
内容は全員から揚げ弁当、これからの作業に向けて英気を養う為だろうがサイズもかなり大きい。
「オオダさん、量は大丈夫?
多いなら俺が…。」
カワノがそう言った時には、カワノはガツガツとお弁当箱を手に持ち豪快に食べていた。
食べっぷりに関しては、ニシヤマと同じくらい。
唖然とした表情で、カワノはミナトに視線を向ける。
一々、助けを求めるような視線を送るカワノに頭を痛めるミナトだが…仲の良い元同僚だ、少しくらい目を瞑ろう。
軽くため息をつくと、ジト目でカワノを見る。
「オオダは、小柄ですが運動をやっていてるので結構食べるんですよ。
食べた栄養がどこにいってるかは知りませんが…。」
漫画的な表現だと胸と言いたい所だけど、悔しいことにオオダは頭がいいんだよなぁ。
そんな事を考えたいはいたが、ミナトもミナトで大概だ。
細身の割に、大の男と同じくらいの量は食べる。
彼女こそ食べた質量は何処にきえたのだろうか?
胸が特別大きくもなく、身長も高くなく…そして腕や足も細い。
人のことをあまり言えないじゃない。
心の中でヤレヤレとボヤきながら、オオダは弁当を頬張っていく。
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