第5話
腹ごしらえを終えて、作業に戻るミナト達。
重たいものはこれだけだと言い放つニシヤマを信じ、ハイエースに乗り込んでいく。
「カワノ君、ママさんから買い物を頼まれたから買いに行ってもらっていいかい?
今、メッセージを流るね。」
「買い物のものによりますけど、私も行きますか?」
ポチポチとメッセージをニシヤマが送っている間に、オオダが気を利かせてかカワノにそう言ってくれた。
お、チャンスじゃない。
そう考えていたミナトだったがカワノはあっさりと断った。
「いや、大した量じゃなさそうですし…荷運びの人員を割くと大変ですから俺が1人でいきます。」
優しすぎるのも損だなと考えながらミナトは、ハイエースに乗り込む。
少し心配になったミナトはオオダに気づかれないようにカワノの携帯にメッセージを送った。
【あれだったら、オオダと2人きりになれるよう誘導しますか?】
あっちも運転中だから、すぐには返信がかえって来なかったがニシヤマの家に着いた頃に返信が帰ってきた。
【2人きりはまだ早い、きっと間が持たない。】
最初に彼氏持ちかと聞いてきた時とは思えないくらい弱腰なカワノに心の中で再び舌打ちをすると返信をせずに携帯をポケットにしまう。
今度は本や服が入った段ボールをハイエースに運んでいく。
「ぁあ、まだ本棚に残っているのは処分するやつだからこの箱に入れてね。
もし、欲しいのを見つけてたら持っていてもいいよ。」
「ありがとうございます!」
ニシヤマにそう言った2人は作業をしながら、目ぼしい本を探す。
これはいらない、これは気になると黙々と2人は作業を始める。
本に夢中になって作業が進まない…なんてことはなく、中々の速さで処分する本を箱に入れていく。
因みに、早くから手伝った特典でカワノは既に本は物色済みらしい。
こういうのは、少女漫画的な表現だと手と手がぶつかってドキッ…みたいな展開があったよな。
やれやれ、我ながらアホな事を考えているなーなどとミナトが考えているとオオダと手がぶつかった。
「あ、すまん。」
「おん、こちらこそ。」
カワノォォォォォォ!!
そんな事を考えながらミナトは無表情で謝罪をする。
こんな隙だらけの女に何をもたついているのだろう。
「…オオダどん、今のでふと思ったんだけど…お前さんは壁ドンとかに憧れる系女子?」
「え、憧れない系女子。
いきなり壁どんとかされたら反撃しちゃうかも…唸るでウチの右手。」
シュッシュッとビンタの素振りを始めるオオダ。
とっさに起こったら体が強張って体が動かないと聞くが、あの女に限っては違うだろう。
シチュエーションにもよるけど、あの体系だから男性は壁ドンしやすいだろうが…オオダが相手だと完全にトラップだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます