第3話
ミナト達が付いたのは駅近の高層マンション。
知り合いの伝手で安く借りれたらいいが…まぁ安いの基準は人それぞれだろう。
そう思考をやめたミナトは、ハイエースからおりてウーンと背伸びを始める。
「おん?
マッサージチェアに座っていたのに背伸びをしているにかね、君は?」
隠す気などみじんもない人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべるオオダ。
この野郎…!!
もう少し自分に身長があれば、踏み潰すぞ小人族と言えたのに。
ちらりとカワノを見たが、微笑ましそうにこちらを見ていた。
いや、あんたも話に混ざれよ!
オオダの気を引く気が本当にあるのだろうかあの男は。
脳内で悶々としているとニシヤマが入口から台車を押してきた、どうやら管理室から借りてきたようだ。
どれ作業の続きだ、渋い顔を浮かべてマッサージチェアを運んでいく。
エレベーターは思ったよりも狭い。
幸いエレベーターは複数あるにで2人ずつで別々のエレベーターに乗ることになった。
どれ少しは協力してやろうか。
ミナトはカワノとオオダを二人にしようと口を開こうとしたが、先にニシヤマが口を開く。
「ここは、男女で別れよう。
少しは男としての意地をみせなくちゃね、カワノ君!」
はっはっはとカワノの肩を叩くニシヤマ。
そうですねと返事をする彼の表情はどこか悲しそうだった、なんとも運がない男だ。
そんな2人を乗せたエレベーターをミナト達は見送る。
大丈夫、本当に短い時間だからチャンスはあるグッドラックなどと思いながらミナトはオオダと共にエレベーターを待つ。
「そういえば、カワノさん…だっけ?
あの人には彼女はいるの?」
「ううん、いないよ。」
唐突にそう言葉を発したオオダ。
コイツは脈ありなのか?
ふぉおおおっと平穏を装いながら、心の中でミナトは叫んでいた。
「ならいいや、彼女がいるのにウチらが側にいて変な勘違いされても困るし。
知っているか、ミナト…女の敵は…女なんやで。」
「まて、私が知らない間に何があったの?」
フッ…と笑い、何処か遠い目をして虚空を見つめるオオダ。
申し訳ないが、彼女の意味深な物言いと雰囲気のせいでカワノの事など頭の中から吹き飛んでしまった。
なんでも、合コンには呼ばれた方がないそうだ。
合コンのメンバー募集中と言われて向かったが…オオダが来た途端、募集を打ち切られたらしい。
メンバーを見ると、中心人物の他は何とも…大人しそうな人達ばかり。
あ…っと察した、オオダは静かにその場を後にしたと言う。
「犬や猫がかわいーとか言いながら自撮りしてる奴は、ウチは絶対に信じないから。」
「うーん、フォローをいれるなら…きっと同僚達はオオダドンが酒豪だって知ってたんよ。
甘い雰囲気の中にいらんやん、酒豪など。」
口には出さないが、奪い合いの合コンで小柄で色白のスタイルが良い女など連れてはいかんだろうな。
自分が篩い落とされる可能性のある女など、地雷だし。
切羽詰まってたら、多分…私も連れて行かない、そんな日は恐らく来ないとは思うが。
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