第6話➖人々を興奮させる本


 「ふぅ〜」

 僕は今日も相変わらず、午前は父から剣術を習い、今現在は書庫で読書にふけっていた。


 そして、先程ついに、

 家の書庫界隈の中では、チェホ○マンとも言って良いだろう……

それはそれはビックなサイズの魔導書を読み終わり、しばらくの間その余韻に浸っていた。

 

 この世界の本の文字は大きく書かれ、そしてそれに伴って、本自体も大きく書籍化されている。

 おそらく、この世界のペンは前世に比べて。ペン先が太いからであろう。 (まぁ字が大きい分、読みやすいから別に構わないのだが……)


 

 そして嘆かわしい事にこの世界の本の値段は高騰していて、庶民が簡単に手をつけられる物では無かった。

前世ではルネサンスの3代発明の1つとまで称された、ある物が無いせいでだ!


 そう、印刷機だ。

 この世界では、印刷機が無いせいで、本の複製は全て手書きで行う事になっている。

 その分、複製の手間が大変大きくなるので、本の値上がりが爆上がりする。

 (値段は前世で言うと、一冊10万円程度だろうか…)


 しかし、僕の家系は貴族なだけあってそれ相応に懐が温く、本を手に入れる事はあまり難しく無い。(ジャック様々だな)


 欲しい本があったら、この持ち前のキュートなお顔が生み出す。 上目遣い&土下座の2コンボ技で両親は大抵ノックアウトされる。

 

 

 でも、この技が使えるのはおそらく後5年がいいとこなので、今のうちに欲しい物は手に入れておきたいと思う。

 (流石に脇毛が生えているような年齢になっても、同じ真似をしてるようじゃあ、

みっともないしな……まぁ生えたら剃れば良いのだが。)


 とまぁこんな感じで様々な本を網羅してきた訳だが、この世界で物凄く僕の興味を惹いた本が二冊あった。

 それは有名な冒険家が手掛けた世界各国の特徴について書かれた本と、

 やはり前世の人間なら、これをエサにすれば魚のごとく釣れるだろうと言われる魔導書の2つだ!

(まぁ言われないが)


 とりあえず、先程読み終わった魔導書について、僕が忘れないうちに説明しよう。

 この魔導書には、魔法を発生させる仕組みについて論理的に記されている。

 

 この世界では媒介となる魔力を体で変換することによって、火や雷などの中学2年生魔法を発生させる事ができる。

 

 前世で例えるなら、エネルギー交換法則に近い。扇風機で例えるとしよう。

 扇風機は電気エネルギーを運動エネルギーに変換させる事で風を送り出している。

  

つまり、

電気エネルギー → 扇風機→ 運動エネルギー(風)

 魔力     →人間  → 魔法(火や雷)


 だが、科学が発達してないせいで明白に解明されてはいないが、この世界にも熱エネルギーや電気エネルギーも存在はしている。

 そこに新たに魔力というエネルギー概念が足されたという形だ。


 魔力はそこら辺の空中にハウスダ○トのように浮遊していたり、 体に帯びたりしているらしい。普通は目で見る事は不可能だが、魔眼などにより、目視する事が可能となるケースもあるらしい。

 

 僕としては透視以外の魔眼に余り興味はない。

 (透視を手に入れて何に使うかはお察しの通りだ。)


 まぁでも、ここまでは読む前から薄々予想はしてはいたので、驚きは少なかった。

  

 驚くべきはここからだ!

 この世界には魔力を媒介に発生させる魔法の他にも、固有魔法という魔法が存在する。

 

 固有魔法とはその名の通り、この世界の人間なら教会で儀式をすれば使える魔法であり、その魔法はその術者だけの唯一無二の個性となる。

 儀式は5歳から行えるので、僕も後2年程したら行えることになる。

 

 固有魔法は術者の性格から影響を受ける場合が多く、術者の甥立ちや家業のなどによって左右される場合が多い。

 だから、狩人の家系の人は狩に適した能力だったり、鍛治氏の家系だったら鍛治に適した、能力の場合が多い。


 (おそらく、し◯けんがこの世界に転生でもしてたら、能力は間違いなく◯倫とかだろうな)


 僕は転生者だから、異例の事態とかが発生したりしたらやだな……


 そして、ここが一番驚くべき所でなんだが、

 固有魔法にはなんとその系統に属した物体を魔力に転換して、自分で保存できる物もあるらしい。


 つまり、火を生み出す固有魔法なら、逆になんも変哲もない火を自分の魔力として吸収できたりしゃちう能力もあるらしい。


 氷系統なら氷を魔力として吸収したり、雷なら電気から魔力を吸収する。

 そんなぶっ壊れなチートも存在するということだ。


 自分がそんな能力を手に入れる事をただただ祈るよ……


 しかし、魔法だけで強さが決まる訳じゃない!

 

 強者というのは魔法が使える者だけを指すんじゃなく、剣術が長けている者、金がある者、権力がある者、人望が深い者、など様々な者を指すと僕は思う。

 

 だから僕も立派になる為にはどんな固有魔法であろうとも、様々な能力を磨く必要がある。

 (はぁ、先が思いやられる…)


 とまぁザックリ言うと魔導書はこのような事が書かれていた。

 

 僕の家庭は魔法より剣術を優先させる家庭でもあって、余り魔法に触れてきた事は無かったが、

(固有魔法を手に入れたらそれを磨いて無双ハーレムしちゃおう)

 とか、妄想めいた事を考えたりしちゃうのは男の子としてしょうがない事だろう。


 

 


 

 


 


 


 


 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

 


 


 

 


 


 


 

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