第3話 会議の後(マリア視点)
またこうなりましたね
あの方と出会ってからもう、八十四年は経つでしょうか?
そこそこ長い付き合いではありますが、あの方の行動にはいつも驚かされます
「今回も、いつも通りだったな」
リースやセレナ、ノアにユキマルなんかの表側が忙しい者はすぐに帰っていきましたが数人はこの場に残っています
今話しかけてきた黒い服——ハディス様が言うところの旧帝国式の軍服を着た赤髪の青年もその一人です
「ええ、ハディス様ですから」
「毎度の事ながら、急にとんでもない事を言うものだな」
それには激しく同意します
「ボクはあの人の考えることは楽しくて好きだよ」
「…ノイズ、そういえばお前も愉快犯の気質があったな」
前髪で目が隠れている緑髪の青年も話しに混ざってきます。彼はノイズ。私の同僚でもありますね。実力は確かですが軽薄で飄々としたところがたまにきずです
「またまたー、シドウくんも実は楽しみなんでしょ?」
「な?!お、俺は——」
「ふふっ、隠さなくていいよー。意外にシドウくんもマリアちゃんも他のみんなみたいにいつも楽しんでるでしょ?」
「ソロモン様まで…」
隣から声をかけられた人物を見て一つ礼をします
「マリアちゃんは律儀だね」
「いえ。それより、その衣装はなんですか?」
「可愛いでしょ!」
ネコミミカチューシャに私よりも丈の短いスカートのメイド服。この人はまた…、いつもどこから持ってくるんでしょう?
「ええ、前のよりは良いと思います」
「おお!マリアちゃんから高評価貰っちゃった!!」
この間なんて、ほとんど裸でしたからね
しかも、この人意外と胸もあるし腰のくびれにも色気があります。その上サラサラの髪と愛嬌のある顔つきまで持ち合わせて…
あの服装でハディス様の前に出られるのは、さすがに許可できませんでした
「それよりさぁ、シドウくん。ちょーっとだけボクに協力してくんない?」
「…お前が動く時はろくな事がないから嫌だ」
「そんな事言わずに!友達の頼みだと思ってさぁ!!」
「はぁ〜。それで、何をすればいい?」
シドウも意外にチョロいですね。今度は私も手伝ってもらいましょうかね
「いやなに、簡単な仕事だよ。実は、最近王国の連中がリーダーを探ってるらしくてね」
「それで?」
「数人、ウチの組織に紛れ込んでる。この際だ、リーダーの計画に邪魔が入る前に始末してしまおうと思ってね」
「その程度のこと、お前一人で十分だと思うが?」
ハディス様を探ろうなどと言う愚か者は死んで当然です。
しかし、ノイズならば一人で事足りるはず
「今回はその大元まで行こうと思ってね。僕じゃ少し相性が悪い。負けは無くとも苦戦はするだろうからね」
「なるほどな。事情は理解した。それならば俺も力を貸そう」
「さっすが!持つべき者はなんでも斬っちゃう最強剣士の共だね〜!!」
「お前も斬るぞ?」
「じ、冗談だって、あははは…」
こんなやりとりもいつもの事なので、最早気にしなくなりましたよ。
どれだけお互いに殺気を出していても、ね
「あ!それじゃあ、マリアちゃんは私に着いてきてくれる?」
「…何をするんですか?」
「えへへー、それは後のお楽しみ!ほら、いくよー!!」
「あ、ち、ちょっと待って、くださ…!?」
手を引っ張られて無理やり空間転移に同行させられる。最後に手を振っているシドウとノイズの姿が見えました
くっ!人事だと思って!!今度会ったら、一度仲間を助ける大切さを教えた方が良さそうですね!!
…それより今は自分の心配をしましょうか
さてさて、今度はどれだけ恥ずかしい事をさせられるのやら…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます