第34話 天然巨乳は虜にしたい!2
お互い、デコが少し腫れてしまったため保健室にやってきた。
『ぐぬぬぬっ──私の顔がぁ……』
泣きトーンでそう言う桃愛の心の声を聞くと、少し罪悪感を覚える。
「いたぁ〜いい!!」
「コ〜ラ、動くんじゃない」
「痛いんだも〜ん!!」
ふんで、今は保健の先生におでこを消毒してもらっている最中だ。
多分、この先生のせいで前に神崎と石川さんの修羅場を味わうことになってしまったのだ。
石川さんのほぼ裸姿を見せていただきありがとうございます!!
腫れも消毒するのか?
そこら辺は俺にはわからないが……え? 腫れにも消毒するの?
てっきり保冷剤をもらうだけだと思っていた。
つーか、傷ついてないしやる意味なくね?
てか、傷に染みなくね?
そんな俺の突っ込みに応えるかのように。
『どうよ!! 天然ではないけど、この可愛いぷりは!!』
だろうな、痛くないよな。
ごめんよ、なんも可愛いとは思わない!!
「揃いも揃っておでこが腫れてくる……うん、これはもしかするとだが、いいやそれだなお前ら!!」
自信満々に顔を輝かせて言う保健の先生を見て思う……。
あ、これ、勘違いしてるな。
「……と言いますと?」
「ん? お前らあれだろ……さっきまでセックスしてただろぉ〜」
その発言を聞いた瞬間、俺と桃愛は勢いよくブーと吹いた。
なななな、何言ってんだこの人!!
俺とこいつがそんなことしたと思ってるのか!?
「子孫を残すはせめて高校卒業してからにしろよ!!」
なんつーこと言いやがるんだ。
それでも保健の先生かよ。
『しししし子孫!? え、子孫はセクロスじゃなくてキスで残すのでは──っ!?』
こいつはこいつで、ピュアだなおい!!
この歳でキスで子供ができると思ってんのかよ……可愛いじゃねぇかよ、おい!!
俺は恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤に染めて。
「ままま、待ってください!! 俺たちは別にそんなやましいことしてなんかいませんよ!!」
「はは〜ん、ほんとか〜?」
「ほんとですか!!」
全く……変に誤解されてるのが嫌なのだが。
なんだ? 大声で『俺は童貞だああああ!!』って叫んでやろうか?
……いいや、嘘だからね?
「怪しいなぁ〜、お前たちあれだろ? そこの彼氏さんが早くピストンしすぎてデコとデコがぶつかったんだろ?」
何故か自信満々のその顔を見るとめちゃくちゃグーで殴りたくなるのだが。
もう少し、オブラートに包めないのか?
そもそも、俺たちはそういうことをしたわけではないのによ。
「違いますから、ねぇ、桃愛!!」
俺は桃愛の方を向くと桃愛は深く、顎を指でゴシゴシと触りながら何かを考えていた。
こういう時に【テレパシー】はとても役に立つ。
なんせ、他人の考えを覗くことができるのだ。
これ以上の超能力があってたまるかよ。
『待って待って……ここで「そうです」と言えば、変に雄也くんは私のことを気にするのでは!? 待って……それは違ってもしかして、そうやって私に告らせようとしているの──っ!?』
変な心理戦!!
そんなこと一切考えてねーからな!!
お前に告らせることなんてよ!!
俺は、はぁ、とため息を吐くと。
「おい、桃愛? 何か言ってくれ、せめて『返事がないただのしかばねのようだ』ぐらい言ってくれ」
何故か、楽しそうに俺たちのことを見ている先生。
俺の言葉にハッと顔をあげて。
「そうだ、そのまま言ってやれ!!」
すると、桃愛は保健の先生を指差した──。
先生に指を差すその度胸は尊敬できる。
「先生……桃愛たちを馬鹿にしてるんですか?」
「ほぉ、何故だい?」
「そうだ、言ってやれ!!」
そして、桃愛は一息吸った後に──。
「セクロスでは子供はできません!! 子供はキスでできるんです!!」
「そっちかよ!!」
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