第28話 生徒会長になったらスカートの下に体育着を履くのをやめさせたい2
俺たちはドリンクバーの手前の席に座った。
理由は簡単でドリンクバーに近いからだ。
見た感じ、高校生だろうか?
制服を着ている人が多く見られる。
しかし、同じ高校の人は少しいるが多分全員先輩たちだ。
とりあえず、ドリンクバーとポテトをオーダーし、俺たちはドリンクを取りにドリンクバーに向かった──。
俺はカルピス、神崎は……カルピスだった……。
まさかの同じだ。
もしかして、俺に気があるのでは──ッ!?
ほぼゼロに近いに決まっている。
それでも、高校に入るまでは少しラブコメを夢見ていた俺なのだ。
少しぐらい期待させてくれ。
「たまたまなんだからね──っ!!」と席に着くとそっぽを向く神崎。
いや、そんなことはないようだ。
恥ずかしい……勝手に自意識過剰になりかけた自分が恥ずかしい──ッ!!
『ああああ!! 私のバカぁ〜ほんとは雄也と同じやつがいいからって言えばいいのに〜。ほんと、私のバカぁ〜』
いや……え?
これはどっちなんだ!?
やはり、神崎の心が読めない。
俺にツンツンしているくせになんか、俺に合わせようとしている……。
いいや、前回わかっただろ!!
デレではないということが……なら……。
一つだけなんとなく心当たりというかピンとくるものがあった。
それは……。
多分、神崎は俺と昔みたいな距離に戻りたいということだ。
本当にそうなのかはわからないが多分それなのでは?
いいや、俺!!
言い切るんだ、それなんだ!!
そう考えた俺は笑顔で。
「そうか、わりぃ。運命だな!!」
ちょっとボケを入れることで距離が縮まると考えたからだ。
すると、嫌そうな顔をしながら神崎は。
「キモ……運命はない」
完全にドン引きしている時のトーンだった……。
おい、俺だってちょっと気持ち悪いことぐらい知っている上で言っているんだ!!
いや、待てよ……さっきみたいに心の中では『素直になりたーい!!』的な感じなのか?
『流石にキモい』
心の声もドン引きしている時のトーンだった。
いいや、それはないようだ。
くそ、期待した俺が恥ずかしいよ!!
そして、ポテトが届いたところで俺は神崎に問う。
「なぁ、神崎?」
ポテトをフォークで刺して口に一本一本運んでいるところで、俺の声がそう言うと神崎は手を止める。
少しパクパクと食べる姿が可愛らしかったのだが……え、神崎さん?
それ、シェア用で頼んだやつですよ!!
「何?」
「神崎って元陸上部だったじゃん?」
いや、むしろ好都合だ。
元々、ポテトを頼んだのは神崎がポテトを好きだからだ。
なので、大好物を食べて今は気分がいいはずだ。
いつもの俺なら嫌がられるだろうが、今の神崎ならそれはないはずだ。
『雄也……私の中学の時の部活知ってるの!? なんか、嬉しいな〜』
いや、知っているというか……。
ゴホン、なんでもない。
これはまた別の機会で話すことだな。
「え、そうだけど?」
若干、耳を赤く染めている神崎。
心の声が聞こえなければ多分、気づかないぐらいだ。
言うならあれだ、『俺でなきゃ見逃しちゃうね』。
「そこでなんだが、一つ聞きたいことがある」
『雄也のバカぁ!! 一つじゃなくてもっと聞いてよ──っ!! 「何カップ?」だとか「まだ初体験してない?」だとか「誰が好き?」だとか!!』
おい、お前の中の俺は性欲のオオカミなのか!?
え、俺ってそんな風に見られてるの!?
「そ、それは……?」
期待しているのがトーンで丸わかりだ。
なんか、期待をぶち壊すようで悪いけどよ……あいにく、俺は変態ではないんだよ。
人並みの男子高校生ぐらいの変態だ。
いや、これを変態と呼ぶんだけどな。
「たとえばなんだが、野球部のボールが陸上の使ってるグラウンドに転がってきたらどう思うんだ?」
すると、神崎は腕を組んで。
「それ私の中学時代の体験談じゃん」
『もしかして……雄也って中学の頃から私のこと見てくれてたの!?』
飛んだ勘違い──ッ!!
たしかに、神崎とは話さないのに心の声が聞こえた時は神崎を見ていたけれども……。
「ほぉほぉ、それで?」
「えっーとね……まず最初にボールを踏んでこけそうになる」
まぁ、いきなりボールが飛んでくるのだからな。
「ふむふむ、それで?」
「他には〜ボールが身体に当たる」
うわっ、痛そう……。
中学は軟式のため高校のボールとは違い柔らかいゴムボールを使っていると聞くがそれでも、痛そうだ。
「他にはボールが……ある男子の頭に……飛んできてさ……あ、それはまた違うかも……」
「え……その男子どうなったの!?」
神崎はニコッと「まぁ、そんな感じ!!」
少し待ってくれ……その男子の頭にボール当たってどうなったんだよ!?
死にはしないだろうけど、頭から血ぐらいは出てもおかしくないはずだ。
『バカ雄也の役に立てて嬉しい♪』
上機嫌なトーンの神崎……これは聞ける雰囲気ではなかった──。
なんというか、仮に重い話だったらこの空気を潰してしまうことになるからだ。
え、多分大丈夫だったよね?
仕方ない。
そう信じるとしよう。
──結局、大体予想はしていた通りだったわけだ。
え、これって野球部が悪い気がしてきたのだが。
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