第27話 生徒会長になったらスカートの下に体育着を履くのをやめさせたい1
とりあえず、偵察は明日からだそうなので今日は生徒会室を後にして一人歩いて帰る。
家まではざっと二十分。
今は大通りに出たところだ。
周りには制服を着ている人が多く見られるが、うちの制服の人はわずかだった。
西園寺先輩曰く、どちらの部活ももうすぐ大会だから一日でも早く解決したいだそうだ。
どこか借りられるグラウンドを探すという考えがあったが、多分それは無理なのだろう。
なんせ、そんなの運動部ならまず最初に考えることだろう。
そして、今の現状からして無理だったのだろう……。
え……詰んでね?
軽く詰んでよるよなこれ……。
そもそもだ、俺は中学は剣道部だったため、どちらの部活も何がどう苦しいのかいまいちピンとこない。
どちらかの部活だったら考えも変わっただろうに……ん?
そこで一つピンときた。
ん? なら……元陸上部の……神崎にでも話を聞けばいいのでは!?
ふとそんなことを考えた。
神崎は元々はかなり県で上位までいっていた選手だったらしい……なぜ、そんなにすごい選手だったのに高校で陸上を辞めてしまったのか知らないが、別に知ろうとも思ってはいない。
そんなことはさておき、神崎に聞くのが良さそうだな。
そうと決まれば、俺はスマホを取り出して神崎に──。
『今暇?』とLINEをすると、一瞬にして既読がつく。
The現代人というか……常にスマホと睨めっこでもしているのか?
少しだけ、神崎のスマホになって睨めっこしたいとか欲望丸出しなことを考えてしまった。
しかしだ。
そんなことしたらすぐに『死ね』だとか『大嫌い』だとか、暴言を言われるだろう……俺がドMなら喜んでるのだが、あいにくMではないんだ。
『暇だけど?』
どうやら暇らしい。
いや、暇に決まってるよな、なんせ神崎も帰宅部なのだ。
神崎の友達は大体部活に所属しているわけだし。
『今どこにいる?』
『家だけど……』
そのコメントを見た瞬間、俺はガッツポーズをする。
「よし……つーわけは、暇してるよな」
仮に友達と遊んでいるなら、こんな一瞬に既読がつくはずがない。
『ゲンベール来れる?』
ゲンベールとは神崎の家のすぐ近くにあるファミレスだ。
時刻は四時四十五分。
この時間なら空いているだろう。
『え、なんで!?』
そうだよな……理由を聞くよな……。
ここは素直に言おう。
後で、めんどくさいことになるのはごめんだ。
『お前にしか相談できないことがある……』
『よし、わかった!!』
どうやら、いいらしい。
少し予想外で驚く俺。
もっと『変態雄也』だとか『はぁ? なんであんたみたいな変態と……』などの返事が来ると思っていた。
となると……え、俺、美少女と二人で食事!?
もしこの世界がラブコメの世界なら、このあと何らかの神崎とのイベントがあるだろうが……あいにくここは現実世界。
そんなイベント起こるなんて期待していない。
少し緊張するのだが……いいや、前回寄り道イベントをこなした俺だ。
神崎とファミレスぐらい余裕のよっちゃんだ!!
しかし、一度ぐらい体験してみたいものだ……『あ、俺のストロー』だとか『あ、手があたっちゃった』だとか……。
まぁ、それでも美少女とご飯なだけでだいぶラブコメだよな。
いや……心の声が聞こえなければなのだけれど……。
そんなことを考えていると、『ゲンベール』に着いた。
ゲンベールの中に入ると待機ようのソファーに座り、足を組んでスマホを触っている神崎がいた。
多分、ソシャゲだ。
俺に気づくと、「遅い」とつぶやく神崎。
「いや、わりい」
いや、神崎……お前がはえーよ。
『私にしか相談できない……ことって……え、そういうことだよね!? 勝負下着にしてきたし……期待していいんだよね!!』
ごめん……言い方が悪かったな。
これに関しては俺が悪い気がする。
しかし……ごめんよ、神崎。
お前の考えていることとは多分、はるかに遠い。
ふん!! とほっぺを膨らませてそっぽを向く神崎。
やれやれ……機嫌直しっつーか、なんというか……。
「わ、わりぃな……遅れてよ。代わりにあれだ、俺が奢ってやるよ」
「そ、そうやって私を口説いても落ちないんだから──っ!!」
『カァー違う、今のは雄也の優しさ!!』
わかってんなら言うなよ。
「ちげーよ、遅れたお詫びだ……」
実際には時間指定をしていないため、遅れたなんてないはずなのに。
まぁ、相談に乗ってもらうのだ。
どっちにしろ、そのくらいする予定だった。
「なら、『空いてる席に座ってください』って店員さんが言ってたから行こ……」
「お、おう」
『あんな口説きされたら……落ちちゃうよぉ……』
だから、ちげーっつーの。
口説きとかそんなんじゃないのにな!!!!
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