第14話 ダブルデート(?)編6
「それで、神崎は何がしたいんだ?」
真剣に悩む神崎。
そこまで真剣にならなくてもいいのでは?
たかが友達に大袈裟な……。
「うん……そうね。私的にはペンギンショーとか?」
「いや、無理だぜ〜今この時間やってないし」
多分、俺がペンギン好きというのを知っているからこそ無理して言っているのであろう。
やれやれ、こいつは昔からこういうやつなんだよな……すぐに自分より人を優先する人間だ。
優しいがそれは自分の身を削ることなる。
あまり、そういうのは好きじゃない。
「じゃあ、雄也が好きなので……」
『そっちの方が、雄也は喜ぶし……』
いいや、俺は喜ばないぞ。
そっかく、寄りを戻すことができるかもしれないチャンスなのだ。
「いいや、俺は神崎が好きなようにしてほしい。石川さんの時ばっかり石川さんの好きなようにさせて、不公平だろ? それじゃぁ」
『雄也のバカぁ……別に優しくしたところで私が雄也を好きになることはないしっ!! そもそも、雄也のためを思って言ったのにバカ雄也──っ!!』
ありがとよ、神崎。
でも、俺のためなら神崎の好きなようにきてほしい。
「わかったわよ!! な、なら……あそこ!!」
そう指をさしたところは先ほどより人の列が少し増えた……。
え……。
なんと、石川さんとツーショットを決めたカップルや家族が記念撮影をするコーナーだった……。
まさかの同じ展開!!
やはり、こいつらはこう見えて仲がいいのでは?
『ここで写真を撮ってあいつに見せつけてやる!! 私の方が雄也と仲がいいことを!!』
神崎、お前も石川さんと同じ考えかよッ!!
「よし、なら並ぶか……」
仕方ない。
初見のフリして並ぶとしよう。
神崎は満面の笑みで「うん!!」と言った。
『雄也とのツーショット楽しみだな……』
しかし、不思議だ。
なんで、あんなに距離を取っていたのにこんなに近くになったんだ?
デート効果的な感じか?
さっき、『友達として好き』とか言ってたけどそれでもここまで近づくもんなのか?
少し疑問があるが、まぁ、今は考えるのはよそう。
──そして、列に並び俺たちの番が来た。
「次の方……ち、こいつかよ」
そう舌打ちをキメたのは、先程、石川さんと並んで写真を取ってくれたお兄さんだった。
「???」と何のことやらわからない顔をする神崎。
え、ちょー気まずいんですけど……これって傍から見たら、ただの女垂らしじゃねーかよ!!
完全にそのことを忘れていた──。
『え?? いまの舌打ちって……もしかして、私たちがカップルじゃないことがバレたから!? もっとカップルことをしろってこと!?』
おい、変な考察をするな!!
違うそうじゃないんだよ。
いいか? 絶対にカップルらしさを出すな……。
すると、神崎は俺の右腕に抱きついて。
「写真お願いしま〜す!!」
おいいいいいいいい──ッ!!
何してくれてんだよ!!
完全にキレているのがお兄さんの表情で見て取れる。
神崎の顔は恥ずかしさで真っ赤に染まっていた。
恥ずかしいなら言わないでくれ!!
『カァーッ、わ、私、言ってしまったあ……なんて大胆!!』
「じゃあいきますよ?」とイラついた表情で優しいトーンで言うお兄さん。
表情とトーンが合ってねえよ。
「はい、チーズ」
○
はぁ……大変な目にあったな全く。
まぁ、もう二度と会うような人じゃないからいいけどよ……。
それでも、完全に女垂らしだと思われたよな。
そりゃー、連続で美少女連れてきたら男子の敵だもんな。
そのくらい、二人が美少女ということを再度理解した。
「もうそろそろ時間だね……」
『残念だけど、ルールだもんね……』
「そうだな……悪いな。写真だけで終わっちまってよ」
すると、神崎は俺の方を向いて満面の笑みで。
「ううん、全然いいよ!! むしろ、ありがとね!!」
『ふん、この写真は家宝にしてあげるんだから──っ!!』
それはやめてくれ。
俺が恥ずかしくて死ぬわ。
「おうよ!!」
さて……無事に終わったな……。
そんな感じで気を緩めていた。
しかし、石川さんと合流した時だった。
二人は笑顔で──。
「「じゃあ、最後は一人だね!!」
「……は?」
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