第9話 ダブルデート(?)編1
週末──。
俺は美少女二人とデートすることになったわけだ。
待ち合わせは駅前の時計台。
王道のデート待ち合わせ場所だ。
そして、九時ピッタリに……。
「「お待たせ!!」」
二人は声を合わせてそう言った──。
やれやれ……仲がいいのかどうなのか、これじゃわかりやしない……こういうところは息が合うんだな。
「いいや、大丈夫……待ってないよ。今来たところ」
とりあえず、俺はデート王道の言葉を放つ。
まさか、俺がこの言葉を言う時がするとはな。
昨日はデートのことで寝れなかった。
というのも、一応、美少女二人とデートなのだ(傍から見れば)。
そのため、それなりのデートをしないと『あの男、冴えないのに二人の女たぶらかしてる。やば』的なことになる。
それが一番怖いところだな。
しかし、二人とも私服姿もまたいいな。
いつもは制服姿ばかり見ていた。
といっても、石川さんに関してはつい最近だが。
神崎に関しては何年ぶりだろうか。
二人の姿はこうだった──。
まず神崎は、上品な黒のキャミワンピースを着ていた。
元々、中学では陸上部だったため、スタイルが良い。
そのため、服のいいところを引き立ててると言うか……そこまでファッションに詳しくないため、上手くは言えないがとても上品で似合っている。
『か、可愛いはまだかな……(ワクワク)』
そんな心の声が聞こえたので。
俺は笑顔で。
「可愛いな。すげー似合ってるぞ」
すると、神崎は顔をカァーッと真っ赤にして。
「べ、別に……お、煽ててもないもないんだからね!!」
「そんなの知っとるわ」
次に石川さんは、純白なThe清楚といった感じの美しいワンピースを着ていた。
服の大きさが少しあってなくて、胸が強調されていて清楚系ビッチにしか見えないのだが。
多分そう見えるのは石川さんの心の声が聞こえてしまうからだろう。
『少し胸元がキツいけど……どこかのタイミングで服が破れて今日はポロリイベントを狙ってやるわ///』
そんなイベント起きねーよ。
そもそも、俺にはそんなラッキースケベなんて持ってない。
「まぁ、石川さんもすごく似合ってるよ」
『あ、新手の口説き///』
そうじゃないんだけどなぁ……。
「あ、ありがとうございます!!」
よし、そうなればだ……。
俺はあらかじめ今日のプランを考えてきた。
食べ歩き、買い物。
この二つは多分女子が好きな事そうだ。
そこで、この二つを俺は初め見た時に──。
あれ、この二つならショッピングモールでいけますやん。
ふと、そんなことを思ってしまったので……。
「なぁ、ショッピングモールに行こうと思う」
俺がそう自信満々に言うと、場は凍りついた……。
「え? だめ?」
我ながら完璧と思っていたのに……え、だめなんすか?
すると、困惑そうな顔をしながら神崎が。
「いや、いいとは思うんだけど……ねぇ?」
「ええ、ここは神崎さんと考えていることは同じだと思います」
え、何? 俺、変なことでもしたのか?
いやいやいや、さすがにね?
俺何もしてねーよ。
「ぐ、具体的に……?」
「そうね!! まず最初に、私たちは可愛い!!」
「お、おう」
俺はそうやって自分が可愛いことに気づいている人は好きだぞ。
可愛いけど可愛いのを認めない人は少し共感が持てん。
自信を持っておけば多分損はしないのに。
『まぁ、私の方が石川より可愛いんだから!!』
『ふん、神崎さん? あなたはあたしの次に可愛いだけだからね』
「それでですけど……そうなってくると、ショッピングモールなんて人混みのところ、多分高校の人がいるはずです。いや、必ずいます。そうなると小倉くんがピンチです」
「俺がピンチ?」
こう見えて、俺は人混みでも大丈夫人間なのだぞ。
心配はいらないと思うのだが。
「うん、そうよ。だって、雄也、あなたは傍から見れば『二人同時にたぶらかしてる男』」
「確かにそうだけどしゃーねーだろそりゃー」
「そうです。ですが、さらに知り合いに見れると……『たぶらかしてる同じ高校の男』となるんです」
その言葉を聞いた瞬間、背中がゾッとする。
「な、なるほど……つまり……」
「そうよ!! バレたら明日から学校に──」
「いけません!!」
仲がいいのかはっきりしろ!!
「よし、デート場所を変えるぞ」
「そうですね……そうなれば……」
「「水族館!!」」
もう一度言おう。
仲がいいのかはっきりしろ!!
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ご覧いただきありがとうございます。
もし、よろしければ近況ノートの方も見てくれると幸いです。
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