第5話 変態さんの攻略を!2

『はぁはぁ……///小倉くん……///』


 仰向けでベッドの上に倒れている俺の上に乗る石川さん。


 おいおい……まじすか。

 え、俺ってここで捨てる感じ?


「えっーとですね……」


 すると、赤面した石川さんは俺の手を掴み、自分の胸に誘導させた。


 ムニっ。


 お母さん以外で初めて人の胸を触った。


 感想からいくとすごく柔らかい。

 他の人との比較なんてできないが、これはかなり柔らかいと思う。


『や、やだぁ///あたし……大体……ふへへ、よし言うんだ!!』


 なんだなんだ? 『ヤりましょう』かぁ?

 だったら、俺は絶対にこいつはヤらない。

 ガラスでも割って逃げてやる!!

 

「あの……小倉くん。以前、あたしとは付き合えないって言ってましたよね?」

「ああ……そうだけど」


 もしかして、『好きって言うまで犯してやる』とでも言うのか!?


 少し緊張してきた。

 ドキドキと胸の高鳴りが増す。


「でしたら……一週間です!!」

「はい?」

「一週間であなたを落とします!!」


 予想外の発言きたー。


『だ、大丈夫よ!! あたし……あたしにはこの身体があるもの!!』


 いや、さすがに身体で人を好きにはならねーよ。

 しかしだ。

 そうくるか……。


「い、いや……少しずつでいいんだよ。そんな短時間で俺は人を好きにはならない」

「いいえ、何があろうとなってもらいます!!」


 すると、石川さんはスカートを脱ぐ。


 おいおい……それは完全に……俺を襲おうとしているのか!?


 石川さんは脱いだスカートを地面へと放り投げた。

 ちなみに、石川さんのパンツの色は白だった。

 やはり、見た目は清楚なだけありそこも清楚色らしい。


 その光景に顔を赤く染める俺。


 こんなエロ漫画みたいな展開あっていいのかよ!?

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!! 多分、石川さんも初めてだろ?」


 いや、俺今だいぶ失礼なこと言ったな。

 でも、多分初体験はまだそうな感じがする。


「はい!! あたしの初めては小倉くんとがいいです!!」


『なんか、あたし、引かれてる気がする……あっ──!! もしかして、小倉くんって粗チン!? いいえ、別にあたしはそんなので小倉くんを嫌ったりはしませんわ!!』


 おい、ディスりすぎだぞ?

 全部聞こえてるぞ?

 悪かったな、俺が粗チンでよ。


 でも……そんなに俺のことが好きなのか……。


 普通の人ならこんなことはしない。

 でも、彼女はしている。

 それは、彼女は俺のことが大好きだからだ。

 その愛の大きさがこれだろう。


「そ、そうか……」


 将来、童貞のまま結局初体験が風俗だったり、そんなことがあり得る。

 だったら、今ここで、俺をしっかり好きと思っている人として捨てるっていうのもありかもしれない。


「なら……」

「ああ……大丈夫だ。しよ……」


 大丈夫、ゴム手袋の親指のところをゴム代わりにする。

 避妊はでき……。


「ねええええよおおおおお!!」


 いきなりそう怒鳴る俺にビビる石川さん。


「ど、どうしました?」

「いや、なんでもない……」


 大丈夫だ。

 よくエロ漫画とかだと一発で妊娠することはないんだ。

 大丈夫だ……大丈夫……。


 実際そんなことはない。

 でも、今がチャンスなんだ!!


 しかし、俺がズボンを脱いで、下半身はパンツ一丁になった時だった──。


『鍵しまってる』


 その声は神崎だった……。


 え……。


「あたしの下着を脱がしてください!!」

「お、おう」


『これだから、チェリーくんは緊張してるんだきっと!! あら、かわいい///』


 こいつ、また俺を馬鹿にしやがって。


 多分、気のせいだろう。


『まぁ、偶然鍵の予備を持ってるから!!』


 いや、気のせいじゃない!!


 そして、鍵がガチャリと開いて、ドアがガラガラと開いた。


 ま、まずい……これは、非常にまずい……。


「ん? 一部屋だけカーテン閉まってますけど……まぁ、いないか……」


 すると、ガラガラ……。


 あ……やばい。


 と俺たちのいるベッドのカーテンが開いた。


『え、雄也……その人は……?』

『小倉くんとの公開セックス!! やっほーい///』


 なんでこいつは喜んでるんだよ……普通そこは『きゃー』が王道だろ。


「いや、違うんだ……神崎。これはだな?」


 まずいことになったぞ……。


 恥ずかしさのあまり顔を真っ赤に染めている神崎。


 こんなイベントに遭遇して何も思わない方がむずい。


『と、トランクス……雄也はボクサーかと思ってた』


 いや、そこかよ?

 そこ考えちゃう?


『ハァハァ……なんというシチュエーションだ!!』


「ねぇ、サッカーチーム分は作ろう!!」


 欲望がダダ漏れの石川さん。


 いや、無理だわ……。

 十一人だろ? そんなには無理だわ。

 

「そういうことなんだね……」と手をゴキゴキと鳴らしながら俺に近づく神崎。

「いや、待てよ、神崎……」


 そして、神崎は俺の顔を勢いよく。


「この変態──ッ!!」とビンタした。


 そのまま、俺は隣のベッドまで吹き飛んだ──。


『こ、この女……あたしの男を!!』

『ふん、別に私があいつの初めてが欲しいわけじゃないからね!! てか、この女……』


 おい、なんだよ、その変なセリフはよ!!


『『殺す──っ!!』』


 どうやら、修羅場というやつに突入したらしい。






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