よん

「おはよう」

 起きるとミナトが居た。

 ボサボサの髪を手で整えながら僕の事を見下ろすミナト。

「眠れた?」

「うん、ばっちり寝れた」

 そりゃ十分足らずで夢の中に誘われてるんだからよく寝れてるでしょう。

「寝袋はどう?」

「……痛い」

 だよね、と笑うミナトになんて言えば良いのかわからず。

「朝ごはんどうする?」

 うーん、と考えるミナト。

「コンビニでも行こうか」

 わかった、と頷くミナトに合鍵を手渡す。

 鍵を受け取る瞬間、少しだけミナトは息を止める。

「まだ持ってたんだ」

「なんだかんだね」

 その言葉を聞くとミナトは大荷物からポーチを取り出す。

「おそろいだね」

 ……まだ、持ってたのか。

「とりあえず、行こう」

 慌ただしい心を抑えつけながら。

 財布と鍵だけを持って家から出る。

「コンビニ近いの?」

「歩いて五分くらいかな」

 遠い、とゴネるミナト。

「実家に居た時の方が距離としては遠いでしょ」

「だって歩いて五分はめんどくさいもん。夏だし」

 確かにそれはそうなんだけど。

 早朝の風が僕達を包む。

 その涼しい風と競うかのように既に日差しはキツい。

 コンビニに入る頃には少し汗ばむくらいで、コンビニの冷房がとても心地よい。

 適当に朝ごはんになりそうなものをカゴに入れていくとミナトが笑顔でお菓子を大量に持ってくる。

「三百円まで」

「遠足じゃん」

 せめて税抜でとゴネるので仕方なくそれくらいだったらいいよと折れる。

 ミナトはご満悦と言った感じで合計三百円ちょっとのお菓子をカゴに入れる。

 レジに向かい、会計を済ませ家に戻る。

「暑かった……」

 二人して溶けそうになりながら。

「ご飯食べたらもう一回寝る……」

 ミナトはご飯を食べながら、気怠げにしている。

「じゃあ寝る……」

 本当に朝ごはんを食べた後横になるミナト。


 少し経って。

 ミナトが仮眠から目を覚ました。

「さて、買い物行こうか」

「えー、朝行ったじゃん」

 それは朝食分、と返しながら準備をする。

「ミナト用の脱衣カゴとか買わなきゃいけないでしょ」

「一緒でいいのに」

 僕が困るの、と返す。

 少し不満そうにしながらも着替えだすミナト。

 ってここで着替えださないで!?

「ちょっとミナト?!」

「ん?」

 シャツを脱ぐギリギリでこちらを向くミナト。

「着替えるなら声掛けてって、ちゃんと廊下出とくから」

「見られても減るもんじゃないし」

 こっちの精神がすり減るんですが。

 またミナトが着替えださないうちに廊下に出る。

 数分後、もういいよと扉越しに声が聞こえるので部屋に戻る。

「おまたせ」

 黒い薄手の長袖シャツにジーンズ姿でベッドに腰掛けるミナト。

「それじゃあ僕も着替えるから」

「うん」

 うん……じゃないんだよ、ミナト。

「着替えるから廊下に」

「もっと減るもんじゃないじゃん」

 めんどくさいーと文句を言うミナトを廊下に押しやって着替える。

 数秒ごとにまだ?と催促が来るも、そんな器用に着替えれるもんでもないので三分くらい待たせる。

「まったく、女の子を待たせるだなんて」

「はいはい、それじゃあ行きますよ」

 ミナトを抑えながら家を出る。

「あ、待って」

 家を出るとミナトがポケットを探る。

「忘れ物?」

「ううん、違う」

 合鍵を取り出し、鍵をかけるミナト。

 振り返り満足そうな顔をしているので何も返す言葉が無く。

「……それじゃ、行こうか」

「ほいさー」

 近くのホームセンターまで向かう。

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