勇者御一行見物ツアー

シヨゥ

第1話

 宮仕えというのは堅実な仕事である。

 御家さえ潰れなければ生涯安泰。とはいえ実入りは少ない。

 とくに俺のような下級の騎士となるとギリギリ食える程度だ。

 だから暇な時間で小遣い稼ぎをする。


 「勇者御一行見物ツアー」と書いた旗を立てて街中に座る。

 ツアーの中身は単純明快。勇者様御一行の後ろをついて歩き、その戦いぶりをご覧いただくのだ。

 危険を犯してまで勇者様御一行を間近で応援したいという好きモノは結構いる。そこに目をつけたのだ。

 魔物がうようよ居る洞窟や山へ乗り込む勇気はないが、応援はしたい。そんな願望を持った奴に金を出せば守ってくれる本物の騎士はどう映るだろうか。

   

 今日も好きモノがやってくる。

 一般の稼ぎからいったら俺のツアーはバカ高い。

 それでも大枚はたいて応援したいというのがファン根性というものか。

 俺には到底理解できない。だが、金を払ってくれるのならそれでいい。

 重い腰を上げて獲物を持ち上げる。

「そんじゃあいきますか」

 今日も食うために一働き。頑張っていきますか。

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勇者御一行見物ツアー シヨゥ @Shiyoxu

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