第7話 CONCLUSION

「私、目が見えませんもの。」


雪乃は己のコンプレックスを言うということで、少しだけ不安になりながらも、けれど救われた雪相手だと勇気を振り絞って、告白した。


「はっ?」


雪は告げられたそれを瞬時に理解できずに、聞き返す。


「障害で、生まれつきです。」


自らまぶたを撫でながら雪乃は、述べる。


「……………あは」


その姿を見た雪から漏れたのは、そんな笑い声だった。


「どうしたんです?」


また彼が壊れたのかと雪乃は、心配そうに尋ねる。


「見つかった」


雪は憑き物が取れたような、晴れた顔で言った。

やはり雪乃には訳がわからず、彼女は頭の上にクエスチョンマークを浮かべて、首を傾げる。


「今までごめんね。暴言とか吐いちゃって。」


雪はその説明はせずに、体を90°に曲げて謝罪を述べた。


「あ、いや大丈夫です。なんか、苦労されてたみたいで、その、私がそれを少しでも解決できたのなら嬉しいですから。」


「いや、でも…。」


にっこりと笑う雪乃にそういう問題じゃないと、もっと自分を責めて良いのだと雪が言う。


「ほら、私そういうのは言われなれてますし。もっとひどい言葉を山程知ってるんで……あはははは」


完全な自虐ネタで不器用に笑いながら、雪乃は頬を掻く。


「…………雪乃さん」


雪は雪乃との間に空いている隙間を狭めながら呟いた。


「は、はい……………やっぱだめですよね。」


その言葉に雪乃は分かってましたと、呟き返した。


「雪乃さん。」


がしかし、雪は手を伸ばせば届くまで詰めた距離で、雪乃の肩を掴みながら普段よりも真剣な顔で、それでいて優しさを秘めた顔で言う。


「はい……?」


自分はフラレるのか、それともどうなるのか不安になりつつも間近に迫った雪の体温を感じながら雪乃は微笑む。


「僕と、付き合ってください。」


雪乃が目が見えないことを知っていても、それでも雪は彼女の目をまっすぐと見て、星空の下生まれてから自分からその言葉を述べた。


今まで言われつづけてきた、され続けてきた、その言葉は、その行為は案外自分でやるには勇気がいって。


彼は雪乃から告白してきたのだから、フラレるはずがないのに顔を緊張と、また別の何かで赤く染めながら心の底からの笑みを浮かべた。














この日、シンデレラの長い長い恋の物語は終わりを迎えた。


そして、王子様はずっと求めていたシンデレラを見つけた。


お互いの『誰でも良い』の『誰か』が見つかったのである。


貴方の『誰か』が見つかりますように。そんな言葉でこのお話は幕を閉じる。



 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 


ここまでお付き合い頂き有難う御座います。


本作はここで一旦の区切りとなります。

ですが、好評だった場合には、あと少しだけ書かせて頂きます。


なので、何卒☆での評価、コメント宜しくお願い致します。

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負けシンデレラにも王子様を! 俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き @Ch-n

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