第162話 もやしの対処法
いつの間にか、話がとっても脱線していたので戻す事にしたわ。
えっ? 1話分丸々意味がなくなったって? きっとそれは後でどうにかするはずよ。きっと、多分。
とりあえず今は、カイル様との結婚式までにもやしの事をどうにかしないと。
……まぁ、式は身内だけでするから、もやしが乱入できるわけもないし、大丈夫だとは思うのだけれど、万が一って事があるものね。
「あの、この流れで言いにくいのですが、アルティアへ人間の感性を教えた方が良いという話になっていましたが、元々はもやしの対処について話し合っていましたよね」
私の言葉に、ノア様が反応したわ。
「そういえばそうだったわね。ジュリアンの運の高さをどうにかできないかって話をしていて、女神が何もしてくれない空気だったのに、突然その女神が乱入してきたから、ごちゃごちゃしちゃったのよね」
そうそう、突然(声だけ)現れて、いつの間にか話が違う方向へ行ってしまったのよ。
「そういえばアルティアは、『使徒であるジュリアンを自分の役に立つようにどうにかしてやろうと思ってここへ来た』と言っていたね。どうするつもりなのだね?」
ダニエル様がアルティアへ問いかけた。
そういえば、そんな事を言っていたわね。
「うむ、それなのじゃが特に何も考えておらんのじゃ。なので参考として、ジュリアンの前に妾が姿を現して欲しいと言っていた理由を教えてもらいたいのじゃ」
何も考えてなかったんかい!!
って、憤ってる場合ではなかったわ。もやしの前に現れてもらう為にも、とりあえず理由を説明をしましょう。
「えーと、もやしが私にちょっかいをかけてくるのは、私がアルティアに似ているからだと思うので、アルティア本人が現れたら、私への執着も無くなりそうだと思ったからです」
「ふむふむ、なるほどなるほど。あやつがお主に執着しているのは、妾に似ているからであったか。……さすれば、妾があやつの前に姿を現せばお主への執着も無くなり、妾の言う事も聞くということじゃな?」
アルティアの言うことを聞くのかは知らんけど。まぁ仮にも使徒なんだしちゃんと言うこと聞くかしら?
「まぁ使徒になるくらいですし、似ているだけの私への執着を考えると、アルティアの言うことなら何でも聞きそうですよね」
もう今後は、もやしなんてこれっぽっちも見たくないので、アルティアの言う事を何でも聞くなら、接触禁止令を出して貰いたいわ……。
等と考えていたら、ダニエル様が少し驚いた様子でアルティアへ問いかけた。
「アルティア、本当に人間の前に姿を現すつもりなのかい?」
「そのつもりじゃが、何故じゃ?」
「うーむ、アルティアには威厳的なものが無いから、口を開かない、話さなければ大丈夫……か?」
ぶつぶつと独り言っぽく、すごく失礼な発言をしているダニエル様。
でもまぁ、確かに威厳は無いわね。
「妾に威厳なぞ必要なのかえ?」
おっと、そう来るのね。
「……えっと、まぁ女神なのですから、威厳はあった方が良いと思うのですけど……。あまり軽すぎると偽物と思われたりするかもしれませんし」
「そうなのか、偽物と思われるのは
「だからアルティアは話さず黙っていれば良いと思うのだよ」
そうなのだけれど。
「しかし何も話さずジュリアンに言う事を聞かせるのは無理じゃろ」
ですよね。
「もう(面倒くさいので)そのままで良いのではないですか? アルティアの使徒なんですから、少々想像と違っても、崇拝する気持ちは無くならないと思いますし」
「うむ、ソフィアの言う通りじゃな! 妾の使徒なのじゃから大丈夫じゃろ」
だから、素直すぎよね。
ちょっとこの女神、大丈夫なのか不安になってきたわ。
「そうね、(面倒くさいから)それで良いんじゃない? とりあえずジュリアンの前に姿を現せば、ソフィアへの執着は何とかなるでしょ(その後、女神の役に立つようになるかは知らないけど)」
何だかノア様の発言から、副音声が聞こえてきたわ。
「悩んでも仕方ないので、とりあえず今からもやしの元へ、パパッと姿を見せに行っちゃって下さい」
「む? 今からいきなり行くのかえ?」
「善は急げです、あっ、でもアルティアだけだと心配なのでダニエル様も一緒に……」
「今からアメリアの元へ行くから無理なのだよ」
私が言い終わる前に、ダニエル様が被せてきたわ。
むむむ、アメリア様もダニエル様に会いたいかもしれないから無理強いはできないわね。
仕方ないわ、私とノア様が変装して影から見守る事にしましょうか。
という事で、アルティアの神の力でもやしの居場所を突き止めてそこへ即ワープ。
人が多いところで突然女神が現れたら、パニックになりそうだったので、もやしが1人になるタイミングで、アルティアが姿を見せることになったわ。
でも、なかなか1人にならないし、こういう時に限って外出中で、さらに人混みの中を移動しているという……。
ぐぬぬ、もやしの分際で手間を取らせるんじゃないわよっ!
こうなったら影から見守るとかやめて、おびき出すしかないわね。
ノア様とアルティアに相談した結果、まずもやしが私に気づくように、さりげなく姿を見せ、もやしが私に気付いたら、人がいない場所へ誘導し、そこでアルティアが姿を現す事になったわ。
因みに、もやしの誘導中は、ノア様は魔道具を使って全然違う姿になり、私の近くに潜んでくれているから、何かあれば守ってくれるから安心よ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます