第157話 スキンシップは大切

 アメリア様の、純情な恋愛話を聞いてホンワカしていたら、いつの間にか結構時間が経っていて、傍に控えていたミアがそろそろ戻る時間だと教えてくれたわ。


 アメリア様と、もっとガールズトークをしていたかったけれど、カイル様を待たせちゃ駄目だから早く戻らないとね。


「アメリア様、まだお話したいのですが、時間がきたのでそろそろ戻りますね」


「そうですか……、忙しい式の準備の合間に来てくださって、とっても嬉しかったですわ」


 少し寂しそうなアメリア様。

 うん、そんな姿も可愛いわ……って百合じゃないわよ!


「式が終わったら、またエブラータ王国で魔道具の開発をする事になると思うので、その時にまたお話も沢山しましょう」


「そうですわね。前は開発に集中しすぎて、あまりお話できませんでしたし、次からは半分くらいお話する気持ちでいきますわ!」


 半分って多くないかしら?

 まぁ、楽しくなりそうだから良いのだけれど。

 えっ? 仕事は真面目にしろって? ちゃんとしてるわよ。

 既に御札以外にも魔道具の盾とか作ったし、夢見で必要な時用に、すぐ作れるように仕様書のストックもたくさん用意したわ!!


 あっ、そうそう、今はエブラータ王国に留学中のアメリア様だけど、ダニエル様と結婚したらエブラータ王国に住むそうよ。


 私としては、アメリア様が近くに居てくれるのが嬉しいから良かったけれど、領地の為に魔道具の勉強をしに来たわけだし、アメリア様の(顔の怖い)お父様や、ご家族は反対しなかったのかしら? そこはダニエル様が上手いこと根回ししたのかしらね。


 とりあえず、これからも魔道具の開発を一緒にやる事になるだろうし、エブラータ王国へ帰ってからも楽しくなりそうね。




――――――――――




「カイル様! お待たせしました!」


 部屋へ入るなり、速攻でカイル様へダイブした私を、危なげなくキャッチするカイル様(の素敵な筋肉)。


 はぁ……至福♡


 大胸筋に顔を埋めながら、くんかくんかと……あらやだ、つい先程シャワーを浴びたのか、カイル様の大胸筋から石鹸の良い香りがして、ついつい香りを嗅いでしまったわ!


「そうですね、待ちくたびれました」


 キャッチした私の頭を撫でながら、そんな事を言うカイル様。


「えっ!! 待ちくたびれちゃいました?!」


 まっ、まさか、待たせすぎたせいで、筋肉触り放題が無しになるとかっ?!


「ふっ、冗談ですよ。しかし……そうですね、我慢していたわけですから、触り放題は私が先で良いですよね?」


「えっ?」


 カイル様が冗談を言った上に、私のお願いを後回しに……ですって?!

 やっぱり待たせすぎて怒ってるのかしら?!


「怒ってませんよ? ただ……そうですね、我慢は身体に良くないですから」


 何にも言ってないのに、またもや心を読まれたような返事をされたわ。


 そして、我慢は身体に良くないって、式の準備でも我慢しすぎて、我慢の許容量を越えちゃってヤバくなってきたのかしら?


「そ、そうですが……私も後でちゃんと触れるんですよね?」


 思わず聞いてしまったわ。だって触りたいんだもの! カイル様の筋肉っ!


「後で……うーん、私が触ってる時に、ソフィアも私の筋肉を触れば良いのでは?」


 確かにそうなのだけれど、触られすぎたら集中できなくなるし、筋肉を堪能できなくなる恐れがあるのよ。

 触り過ぎちゃ駄目って言っておいたら良いかしら。


「……という事は触りあいっこになりますが、私もカイル様の筋肉を堪能したいので、程々にお願いしますね」


「わかりました」


 私の言葉にカイル様はニッコリと微笑んでそう答えた。




――――――――――




「嘘つきーっ!!!」


「ソ、ソフィア?」


「カイル様の嘘つきーーーっ!!!! 程々にお願いしますって言ったのにーーーっ!」


「あっ、いやっ、その……」


 わかりましたって言ったのに、全然程々じゃなかったわっ!!

 結局、カイル様が触りまくって気持ち良くなって力が抜けて、私が触る間もなく何回もしちゃって、立てなくなってるじゃないのっ!


 えっ? 拒絶すれば良いって? そんなのできるわけ無いじゃない! 触らなくても筋肉の視姦(ちょっと違う)はできるからつい……ゲフンゲフン。


「いっ、今すぐ高回復魔道具を使って、思う存分触って良いですから怒らないで下さい」


「…………むぅ…………なら許します」


 ふっふっふっ言質を取ったわ! あとからやっぱり無理と言われても駄目よ!

 こうなるのは分かってたけれど、触れないのは困るから怒ったふりをしたのよ!


 という事で、思う存分カイル様の筋肉を堪能させてもらったわ!

 えっ? そんな事はどうでも良いから早く話を進めろって? いやいやいや、日頃からのスキンシップは大切なのよっ!




――――――――――




 という事で、スキンシップを沢山した次の日の朝、ダニエル様が女神の答えを伝えに来てくれたわ。


「という事で、女神の答えを伝えに来たのだよ」


「あっはい、ありがとうございます。とても早くてびっくりしました」


 ダニエル様が来た時、私はまだ寝ていたので、身支度を整える間に、カイル様がダニエル様のお相手をしてくれていたわ。

 因みにカイル様は、毎朝鍛錬をするので起きていたのよ。


「報告は早いほうが良いかと思ってね。それにこの後アメリアと会う予定があるのだよ」


 さっさとこちらに伝えて、早くアメリア様に会いたかっただけだった!

 そして、いつの間にかアメリアって呼び捨てになってるじゃないの!

 うん、仲良きことは美しきかな〜。


「そうなんですね。では手早く答えを聞かせて下さい」


 早くアメリア様に会いたいみたいだし、ここで時間をかけちゃ駄目よね。さっさと聞いてアメリア様の元へ送り出してあげましょう!

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