第158話 アルティアの返事
ということで、ダニエル様から女神の返事を聞かせてもらうわよ!
「子供に神の力が宿るとどうなるのか? という問いだが、普通の人間よりは若干寿命は長くなるのと、少し強くなると言っていたね。少しの程度はわからないが、私ほどではないらしいから、人間離れするわけではないのだよ」
「普通より少し長生きするのと少し強くなるんですね。人間離れするわけでは無いのなら心配はなさそうですね」
神視点での若干や少しが良く分からないけれど、人間離れするわけではないなら、とりあえず心配はしなくてよさそうね。
「そうだね。この事はアメリアにも伝えておこう。そしてジュリアンの事なのだが……」
あら? 言葉を濁した? 何か言いにくい事でもあるのかしら?
「何か問題でもあったのでしょうか?」
「運が良いのは女神が関係しているのか? という質問だったが、関係はしているが意図的では無く、勝手に……というか、ジュリアンは女神アルティアへの信仰心が強すぎて、アルティアの使徒になっていたのだよ」
使徒? えーと、使徒ってあれよね、襲ってきたら大きな人型の機械に乗ってA〇フィールドを張って戦う……やつではなくて、神聖な目的に献身する人っていう意味の事ね。
「使徒って……女神の使徒になったらどうなるんですか? ていうか勝手に使徒になれるんですか?」
「仕組みはよく分からないのだが、信仰心が高い人間は、稀に使徒になるようなのだよ。使徒になったからといって女神と話せるとか、特別な力が使える事は無いのだが、1つだけ能力が桁外れに高くなるようなのだよ」
1つだけ能力が桁外れに高くなる……。まさかそれで運が高くなったってこと?
運が高くなるだけって文字で見たら結構しょぼいけれど、実際には運が高いだけで色んなフラグを回避しているわけだから、凄い能力よね。
「それって女神の方でどうにかできないのですか?」
「信仰心を減らせば使徒では無くなり、その能力も失われるわけだが、今まで使徒なんてあまり出現しなかったから、アルティアは興味を持ってしまったみたいだね。アルティア的には、どうにか出来ないことはないけど、やりたくない感じだったね」
やりたくないって、それじゃ困るのよ!
「女神がもやしに興味を持ってしまったんですか? それならいっそのこと、もやしの目の前に現れて骨抜きにするとか、信仰心を下げなくてもできることをしてほしいです! もやしから私への執念を消してもらいたいだけなので」
ついついもやし呼びのまま話してしまったわ。まぁ、もやしで通じるから大丈夫……ってそういえばダニエル様には、もやし呼びの事を言ってなかった気がするわ。
「もやし? ……あぁ、そういう事なのだね。だが、興味を持った使徒とはいえ、ただの人間の目の前に、アルティアが現れてくれるかは分からないのだよ。仮にも女神だからね。とりあえず今夜話してみるのだよ」
もやし呼びをさらっと納得してくれたわね。ダニエル様の前世は日本ではなさそうだけれど、もやしを知っていたのかしら? まぁ話が通じたなら何でもいいわ。
「はい、お願いします」
そしてダニエル様は素早く去って行った。
きっと、早くアメリア様に会いたかったのね。
「女神がジュリアンの前に現れてくれれば一件落着になりそうですから、会ってもらいたいものですね」
ダニエル様とのお話し中、ずっと黙って聞いていたカイル様がそう話しかけてきた。
そうなのよね、アルティアがもやしの目の前に現れてくれれば、アルティアに似ている私への執着も無くなりそうだし、それで一件落着になりそうなのだけれど……。
何故って? そりゃ本物が居たら普通に意識がそっちへ行って、偽物……というか似ているだけの人物なんてどうでも良くなるでしょ。多分。
「そうですよね。もやしの信仰心が高すぎて使徒になったんだから、会ってあげて欲しいですよね。そうすればもやしの事で、今後悩むことも無くなると思いますし」
まぁ、そんな簡単には行かないだろうけれど、思うだけなら別に良いわよね。
「まぁ、もやしの事をここで考えてもどうにもなりませんよね。アルティアからの返事を待ちます。そして、式の準備もほぼ終わりですし、今日もゆっくりしますか?」
今日もいちゃいちゃ&筋肉の触り放題をしたかったので、カイル様にそう尋ねた。
「そうですね、準備も順調ですから今日もゆっくりしましょう」
肯定の返事を貰えたので、そのままカイル様の唇にチュッとキスをする。
「ふっ、可愛らしいキスですね」
にやりと笑いながらそう言って、カイル様は私を抱きしめ、優しいけれど深いキスを返してくる。
抱きしめられてるおかげで、大胸筋の感触が感じられるし、キスが気持ちよくて頭がふわふわしてきたわ……って、ふわふわしてちゃ駄目だった! 筋肉よ筋肉っ! カイル様の素敵な筋肉を触るのよ!
ふわふわしかけていた気を引き締めて、首に回した腕をずらして僧帽筋をしっかりと撫でまわす。
撫でた瞬間、カイル様がピクッと反応してキスが激しくなったわ。
ちょっと苦しいけれど、まだ大丈夫よ! 筋肉を撫で回す余裕はあるわっ!
優しくも激しいキスをされながらも、カイル様の上半身の筋肉を触っていく私。
やっぱりカイル様の筋肉の感触は最高だわ! と筋肉に酔いしれていたら、いつの間にか押し倒されていた。
はて、いつの間に?
もう少し筋肉を堪能したかったけれど、Hしながらでも触れないことはないし良いか。
――――――――――
そんなこんなで、朝からカイル様といちゃついていたら、あっという間に1日が過ぎて夕食の時間になっていたわ。
いちゃいちゃしていたら、1日がとっても早いわね!
そして夕食時、ダニエル様から聞いたお話を皆に情報共有したわ。
マルティネス王国へ来ても、夕食時に話し合いが出来るように、毎日ではないけれど、なるべく皆と一緒に食べるようにしていたから、話が早く済んで良かったわ。
「という事で、エドガー様と私の子供が、もし神の力を持って生まれても、人間離れするような事はないそうです」
「そうなのね。心配事が減って良かったわ。まぁでも、もしエドガーとソフィアの子供が特殊な力を持って生まれたとしても、私が何とかするから大丈夫よ」
何とかってどうするのかは分からないけれど、エドガー様との子供でもノア様がそう言ってくれるのが嬉しいわ!
「ノア様ありがとうございます! そうなった時はお願いしますね。という事で、後は使徒になってしまったもやしに対する女神の返事を、明日ダニエル様から聞くだけですね」
「女神か……何だか嫌な予感しかしないなぁ」
エドガー様が呟いた。
「嫌な予感ですか?」
「とっても利己的だしね。まぁ神だから仕方ないんだろうけど」
エドガー様が私の問いかけに、しかめっ面でそう答えたわ。
「利己的……まぁそうですよね。女神はこの世界を存続させることだけを考えて、私達の状況なんて考えていないでしょうし」
私達が、この世界へ転移や転生させられた理由を考えると、利己的と言わざるを得ないわよね。
一応、魂を分けて転生させてくれという、私の願いは聞いてくれたけれど、あれは前にも言ったように、たまたま女神の興味を引けたからってだけだろうし。
「あら、本来神ってそんなものよね? 神々の考えている事なんて人間にはわからないし、
ノア様が不思議そうに聞いてきた。
「私達の前世の世界では、そもそも神なんて居ないので違うも何も――」
「えっ? 神が居ない?? そんな世界があるの?!」
ノア様らしくなく、こちらが言い終わる前に被せてきたわ。
まぁ、この世界は、謎パワーである神の力で魔道具が動いているし、実際神が居る事が認知されているわけだから、神が居ないっていう事がおかしいと感じるのかしらね。
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