第14話 伝わらない気持ち
えっと……ジャン様が去っていった方を向いてカイル様が呆然としているわ……何だか気まずいのだけれど……。
「……先程は、説教臭いことを言ってすみませんでした」
「いえ、確かにエドガー王子が勘違いしていたのは事実ですし……でも、何故そうなったのかがわからないのですが……」
どうして、私がエドガー王子を好きだと勘違いしたのかわからないし、さっきカイル様が勘違いしそうだといった理由もわからない。
まぁ、カイル様のは勘違いではないんだけれど、でも何にもしてないのに好意が伝わったの? 私何かしたっけ?
「うーん……。そうですね……」
カイル様がこちらを見つめてきた。
…そんなに見つめられると恥ずかしくて、頬が熱くなってきたわ。
「……そういうところです」
「え? どういう……?」
「ソフィア嬢はすぐ赤面するので、赤面されると気があるように思われます。あと先程のように上目遣いで『そばにいてほしい』等と言われると、男は誰でも勘違いします」
「赤面? ……あっ!」
そういえば、エドガー王子のあのご尊顔で笑顔を見せられた時、好みの顔だからめっちゃ赤面してたな……そのせいだったのか。
そして上目遣いは、身長の関係で仕方がないような……。
「でも、恥ずかしいと赤面してしまうのはどうしようもないのですが……」
あと、そばにいてほしいのはカイル様に好意があるからです! 本心です!
「そうですね。赤面は仕方がないと思います。でもその上目遣いとか、先程の潤んだ瞳などは、何とかしないと勘違い男が増えますよ」
なんか呆れてる? てか、カイル様は勘違いじゃないってば!!
さっきも思ったけど、上目遣いは身長のせいだし、そして潤んだ瞳っていつの……あっ、さっき迷子になって心細くて泣きそうになってたから、目が潤んでいたのかしら?
理由はどうあれ、そんなふうに思われていたなんて……何だか意図的に誘惑しているみたいじゃないの。
泣きそうだわ……って、これもまた潤んだ瞳とか言われるのかしら。
「ソフィア様!! ご無事ですか?!?!」
ちょっと言い返そうと思ったら、突然すごい勢いでアメリア様が現れた。
……え、ついさっきジャン様が出ていったのよね、早すぎるわ。近かったのかしら。
「ア、アメリア様?」
「第一騎士団の方がお父様のところへやってきて、ソフィア様がお連れの方とはぐれたと聞きましたので、慌ててやってきましたわ!!」
「ありがとうございます」
「あっ! 騎士団長のカイル様!! ソフィア様を救っていただき、ありがとうございます!!」
やっぱり、見た目と違ってパワフルだわ。
「お連れの方々は、通信魔道具でどうにかなりそうなので、一緒にお父様のところへ参りましょう」
「はい、アメリア様。カイル様も……本当にありがとうございました」
「いえ、当然のことをしたまでです。そしてソフィア嬢、これからはくれぐれも気を付けて下さい」
えーと、どれの事を気を付けるのかしら? 迷子? さっきの勘違いの件? どちらにせよ悪印象しか与えてないわよね……はぁ……。
気持ちも全然伝わってないし……ってこれはエドガー王子の勘違いがあったせいよね。
エドガー王子うらみーますーだわ……。
カイル様は勘違いじゃないから勘違いしてくれていいのに……言葉が変ね……疲れたわ。
そしてアメリア様に連れられて、主催者が集まる場所でミア達と合流。
ミアは泣きそうになりながら、護衛達と共にすごく謝ってきた。
いや、私が謝らないといけないんだからと私も謝った。
「ソフィア様は、皆様に愛されておりますのね」
その様子を見ていたアメリア様がそう言った。
「えっ?」
「侍女や護衛の方々は必死で探しておりましたし、王城の騎士の方々も力になってくれて、素晴らしいですわ!」
「ええっ? 騎士の方々は、たまたまカイル様に助けられたから手伝ってくれただけですし。愛されてるって大袈裟な……」
「いえ、ソフィア様は知らないかもですが、王城の騎士の方が来られて、ソフィア様がはぐれたということを言った瞬間、他の騎士達はとても心配していらっしゃいましたわ。そしてその後カイル様に保護して頂いてることを知ると、とても感動しておりましたわ」
「ん? 感動??」
何故感動するのかしら? ちょっと意味がわからないわ。
「それに、まだ会って間もないから何をと思われるかもしれませんが、私もソフィア様が大好きなのですわ!!」
ぐはぁ! かっ可愛い!!!
ほんのり頬を赤らめた可憐な見た目とは裏腹に、パワフルな告白をされたわ! やはりモテ期なのかしら……カイル様以外だけれど……くすん。
「光栄です。わっ私もアメリア様のことが大好きです」
あ〜っ女子同士でもこういう事言うのって恥ずかしい〜!!
「っ!! ソフィア様! ……何だかいけない扉を開きそうだわ……」
んっ? アメリア様、今何か言ったかしら?
そんなこんなで催し事は終わり、その日はまた一泊させてもらってから次の日に帰宅した。
―――――――自室―――――――
催し事は楽しかったけれど……。
あーっ! もう!! カイル様と奇跡的に出逢えたのに悪印象だけ与えてしまったじゃない。少しでも仲良くなりたかったわ……はぁ。
「お嬢様浮かない顔ですね? どうかなさいましたか?」
「ミア〜〜」
ミアにはカイル様への気持ちを伝えたから、昨日の出来事言ってもいわよね?
「―――という事で、絶対カイル様に嫌われたわ……客観的に見たら誘惑してる尻軽女みたいじゃないのー! えーん!」
「お嬢様、それは違うと思います!」
「へ?」
「お嬢様? お嬢様に魅力があるから勘違いをするんですよ? そこらの尻軽女とお嬢様は全然違いますし、カイル様もそんなことは思ってないはずです。きっとそれは、お嬢様の身の安全の為におっしゃったのですよ!」
ミアが力強く言い切った。
「えぇ? ……ほんとうに?」
「はい! このミアが断言します!」
ミア……なんていい子なの。
そうよね面と向かって嫌いと言われたわけではないし、気を付けたほうがいいと仰ったのは私の身の安全の為? 勘違いの暴走で襲われるとかってことかしら? ……うわっ怖っ。
「じやぁ、勘違いじゃないって伝えてもいいのかしら?」
「お嬢様がそう望むのであれば……ですが、エドガー王子の件はよろしいのですか?」
うん、すっかり忘れてたわ!
エドガー王子が筋肉育んでくれてる間は突っ走っちゃダメよね。
それに、カイル様は全然意識してくれてなさそうだし、恋愛初心者が焦ってもきっと良いことがないわよね。
地道に頑張りましょう。
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