惑星デマフィスでのメティーナ様

 天の女神へと転生してからも、メティス様には惑星デマフィスでの女子半神様ヘーミテオナの記憶がある。

 

 メティス様の記憶はこんな感じだった。

 

【メティス様の惑星デマフィスでの前世】

§ ヘーミテオスの父と猫人姫キャッティネの母の間の子メティーナとして誕生

§ 8歳の時に、アプサラス神系譜の半神の固有権能アイゲンテに目覚める。

§ 未だ半神としてファミリスの眷属と共にダンジョンを潜っていた父の勧めで、

  9歳の時にメティーナ・ファミリナを結成

§ 上層、下層のみからなる偽ダンジョンで経験を積んだ後、

  父のファミリスと共に深層を有するダンジョンへも挑戦

§ 父のファミリスが解散となった際には、ファミリスのメンバーの多くが

  メティーナ・ファミリナに転属

§ メティーナ・ファミリナは、難関ダンジョンの深層攻略で名を上げる。

§ しかし、最難関ダンジョンの深層でメティーナ様はモンスターに

  固有権能アイゲンテを奪われ命を落とす。

§ メティーナ様の恩恵グレイスを失ったメティーナ・ファミリナの

  団員たちも、深層のモンスターの前に散っていった。



前世のメティーナ様はさぞかし無念だったことだろう。

悲しいな、と思いながらも私は一つの質問をしてみた。

「あの、なぜ半神様は眷属と共にダンジョンに潜るのでしょうか?それも大きな危険がありそうな深層まで・・・」


メティス様は

「その質問には答えが3つあります」

「はい・・・」


私は女神様から、半神様と眷属達がダンジョン攻略に挑む理由を、3つの観点から説明してくださった。


【惑星デマフィスでのダンジョン攻略の意味合い】

① 人族の経済活動の一環

 ダンジョン内でモンスターを倒した時に得られる魔輝石アイテムには、高値で取引されるものも多い。武器、防具や魔法具の原材料となるなど、アイテムは地上有効活用できるためである。

 すなわち、ダンジョンに潜ることの意義の一つは営利目的がある。


② 地上社会の防衛活動の一環

 ダンジョン内のモンスターは地上を制圧することを目指している。

 モンスターの能力はダンジョン内の魔素で最大化されるため、

 今のととろ、モンスターの地上進出は防ぐことができている。

 しかし、モンスター数が増えるとダンジョン内の魔素は増していく。

 そのため、討伐されないモンスターが増えると、モンスターの地上進出の怖れは増していく。

 すなわち、ダンジョンに潜ることの意義のもう一つはモンスターの地上進出の阻止という防衛目的である。

 

③ 天上界からの使命

 知的生命体ある数多の惑星を統べる天上界から見て、

 惑星デマフィスは異常である。

 ダンジョンの質・量と、無尽蔵の魔素の点において

 天上界の神々は、デマフィスに半神に様々な権能を与え、

 ダンジョン攻略を鼓舞してきたが、状況は思わしくない。

 魔素の源と目される魔王がいかなる存在かは未だ不明。

 無尽蔵の魔素がこもったデマフィス・ダンジョンは

 惑星レベルを越えた影響をこの宇宙に及ぼしかねないと天上界は危惧している。

 すなわち、ダンジョンに潜る最後の意義は宇宙レベルでデマフィスが悪影響を

 及ぼさないがためである。

 

 



 惑星デマフィスのうら悲しき思い出を語っていた女神メティス様の話が、

いつの間にか宇宙レベルとなってしまった。。

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《コンタクトレス》 女神様から授かった潔癖権能で転生ハイエルフが魔王ダンジョンに挑みます。 十夜永ソフィア零 @e-a-st

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