女神メティス様と惑星デマフィス

少し意識がはっきりしてきた。


「あの、よろしいでしょうか?」

「いつでもよろしくてよ」

「お名前をお聞かせいただけますでしょうか?」


柔らしい口調ながらも神々しさを感じてしまう声の主に、私は名を問うた。


「あら、先ほどは目が覚めたばかりでしたものね」


「わたしは女神メティスと申します」


あれ、私、聞き落としていたのかな・・・?

と思いながらも、声の主のお名前が分かって良かった。


「それで女神様、惑星・・・デマフィスとは?」


「はい、デマフィスとはですね」


・・・メティス様よりご丁寧に惑星デマフィスについて説明いただいた。


【惑星デマフィスとは】

§ 地上は、各種の人族と半神様が暮らす中世風の世界

§ 人族は半神様の眷属となると、能力状態ステータスを伸ばす恩恵グレイスを受けられるようになる

§ 地底の魔王が作ったダンジョンが各所にあり、今なお増殖中

§ ダンジョンのモンスターたちは半神様を喰らい力を奪うことを目指している

§ ダンジョンを封じ込めるため、半神様の眷属達は日々モンスターと戦闘中


 阪神様って聞いて野球の神様かとおもっちゃったけど、違うのね。

 神のごとき力を持ちながらも不死の存在ではない、という意味の半神様。

 

 半神様の恩恵グレイスを受けた眷属たちは家族のような存在となるらしい。

 すなわち、女子半神様ヘーミテオナは眷属たちとファミリナを作る。

 すなわち、男子半神様ヘーミテオスは眷属たちとファミリスを作る。


 メティス様からの説明を聞くうちに

(眷属になるって、半神様のファミリナかファミリスに、入部する、みたいなものね)

と思えてきた。半神様は部活の顧問か監督のような御方と考えておこう。


(女子バレー部員だった私は、やっぱりヘーミテオナ様のファミリナに入りたいところね)

 ファミリスに入る、だと、なんかファミレスでバイトするみたいな感じがするし。



 そんな風に思っていたわたしに向け、女神メティス様は言葉を続けられた。


「わたしもかつては、惑星デマフィスのヘーミテオナ・・・でした」


(でした・・・ということは、モンスターに・・・)


 正解だった。

 ヘーミテオナ時代のメティス様は、ダンジョン深層のモンスターの毒牙で命を絶たれてしまったとのこと。

 その後、ヘーミテオナの恩恵グレイスを失ってしまったメティス・ファミリナの眷属たちも、皆、深層のモンスター達に命を奪われてしまったとのこと。メティス様はファミリナの子たちの命を奪う結果となってしまったことが一番の心残りらしい。

 

 そう語ったメティス様のお声を少し低くなっていくにつれ、私もシンミリとしてしまう。

 

(そっか。学校の部活じゃないんだものね・・・ファミリナに属してダンジョンに潜るということは、命の危険が伴うんだものね)


ちょっと前に、私は部活動中に命を落としてしまったんだけれども。

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