第6話

 段ボール箱の中身は、やはり納豆だった。

 手紙も添えられている。



『いつも納豆をもらってくれるあなたへ

 日頃から嫁がお世話になっています。

 いつも納豆をもらってくれて、ありがとうございます。

 嫁に付き合わされて疲れていませんか?

 全部ひとりで背負い込んでいませんか?

 嫁からは、家族全員納豆が大好きだからたくさん送ってほしい、と言われております。

 正直、私も疲れました。

 だから、これで最後にします。

 職場の方々で分けて下さいな。

 食べたい人だけにもらってくれれば、私は嬉しいです。

 残りは、この手紙と一緒に嫁にあげて下さい。

 納豆大好きな嫁と家族が食べてくれるでしょう。

 あの嫁の姑より』



 職場でもらった段ボール箱を、また職場に持って行った。

 職場の人達は、喜んでひとり1パックずつもらってくれた。

 あの人のお姑さんもなかなかやるね、と言葉をくれて。

「あれ? あずさちゃん、納豆食べてくれなかったの?」

 何も知らない彼女は、段ボール箱と手紙を受け取ると、手紙を読んで青ざめた。

 胸が痛む錯覚を起こした。

 彼女を傷つけてしまった。私にも気さく接してくれる彼女を嫌うかのように、突き放してしまった。

 でも、気持ち悪さは感じなかった。悔いはあるけれど、最初に断れなかった自分も悪い。反省。

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