第三話

そんなこと話してたら、もう一時間目が始まる時間だ。


一時間目は音楽だった。しかも歌のテスト。最悪


 クラスに馴染めていない人にとって、『歌のテスト』は憂鬱なイベントランキングトップ10に入ると思う。あ、一番はもちろん文化祭。一緒にお店を回る人なんていないし、今年の文化祭は自分のクラスの出し物をずっと手伝うことで乗り切った。


正直普通の授業よりも、行事の方が困る。

みんなが楽しんでて自分だけ仲間はずれな気がしてならないし、一人でいるところを見られて(あ、あの人ぼっちだ。かわいそう)みたいな目で見られるのが本当に居た堪れない。


私が気にしすぎているだけなんだろうか。多分そうだけど、気にしちゃうものは気にしちゃうのだ。なんか話が逸れちゃったな。私がいかにぼっちかってことを語ってしまった。


とにかく、歌のテストなんて受けたくない。声が震えて、歌詞忘れてっていうのがいつものパターンだから。


とりあえず、音楽室に向かう。


 隣の席の人はもう席についていた。音楽室は、教室と景色が違うから新鮮で嫌いじゃない、席もいつもと違うし。歌のテストは嫌だけどね。



「歌のテストとか最悪だよな〜」



ん??一瞬何が起きたのか分からなかった。

そっか、私に話しかけたのかって気づくまでに結構時間がかかった。いや、実際はほんの数秒だったのだけど、私には長く感じた。

 

「う、うん」


とりあえず頷いてこう応えた。


 音楽の時間はいつも隣の席だったけど、事務的な会話以外をしたのは初めてだった。人に話しかけれれるってことが極端に少ないから、話しかけられると変な汗をかくようになった。今も冬なのに汗をかいている。歌のテストでただでさえ緊張しているのに、何で他のことでも動揺しているんだ...



でも、正直ちょっと嬉しかった。



まあ、歌のテストは想定通りひどい出来だったけど。







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