呪いや怪異に詳しい青年探偵が、依頼者たる十代の少女とともに、怪死事件の謎を追う物語。
探偵もののミステリ風ホラー(ホラー風ミステリ?)です。
わずか一万字に満たない分量の中で、きっちり事件発生から解決までやっちゃう手際がすごい。事件そのものは怪異の絡んだものでありながら、きっちり謎(事件の真相)を追う流れになっているところが魅力的でした。先の展開が気になってどんどん読まされちゃう。
ホラー短編として満足感が高いというか、娯楽作品としてのツボを押さえているところが好きです。
まずもってキャラクターが魅力的! 決して完全無欠のスーパーマンタイプではないものの、でも言葉に説得力があり頼もしい探偵・鮠眉さん。依頼人の少女・塔雨さんとのコンビ感も楽しく、掛け合いの雰囲気につられてぐいぐい読み進めてしまいます。
作中の怪異や呪いもしっかり不気味でおぞましく、ちゃんとホラーしているのも嬉しいところ。娯楽作品としての完成度を感じさせる作品でした。