ホラーと言い切ってしまうにはあまりに切なく、さびしい掌編でした。夜、を感じられる小説が読みたいな、と辿り着いたのがこの作品です。ガラスカップの中で氷が溶けていく音が、なんともさびしく響き渡り、あらゆることが彼女を通して形作られていたことを実感する主人公の姿は、それでも影のように薄く、背骨が曲がっているような弱々しさを感じさせました。面白かった、氷の冷たさがからだに満ちてくるようでした。