第79話 悲願!

 ……祐希さんが信頼してくれている、唯一の人間が……俺……?


 ……『ゆうきちゃん』は続けて……


「……彼女は、法外ほうがいさん……かけるさんが、彼女を助ける為に行動する事を望んでいません。 ……それは、彼女が生きる事を諦めた訳では無く、これからの『人類の存亡』に、貴方が不可欠だと判断したからです!」……と言った。


 祐希ゆうきさんは『特務機関ひと〇〇まるまる』の前身である『特務機関九十九つくも』時代からの悲願……『来たるべき情報化社会』の中核を担うであろう『高速電算機』の頭脳に当たる『集積回路』にスパイウェアを常駐させ、あらゆる情報を『機関』が入手する研究の完成を渇望していたそうだ。 ……それが人類の未来と、人々の自由の為と信じて……。


 ……当然、それ程の重要な情報を手にした者は『世界征服』も可能となる。 それを悪用せず、純粋に世界の平和に利用する事が可能な人間……『理性』で『利己』を抑えるのでは無く『本能』で『利他』を常に選択出来る人間が、この『大いなる力』を管理しなければならない。


 ……その『管理者』として祐希さんが認めた唯一の人間……それが俺だったそうだ。




 ……祐希さん……



 ……一言良いかな?



 ……ごめん、敢えて言わせて貰うよ……



 ……『人類の未来』?


 そんなもん『ク ソ く ら え』だ。


 俺にとっては、祐希さんが全てだ。 彼女を助けられるのは俺だけだし、彼女が救えなければ、未来なんて要らない。


 か弱い、たった一人の女性すら救う事が出来ないような生命体など……


 滅 び る べ き だ !


 ……俺は、祐希さんの命を脅かしている『ダルメシアン 101体』殲滅の為『ペガサス』のアクセルを踏み込み、目標ターゲットを探すため、ゆうきちゃんに命令した!


『ゆうきちゃん! ダルメシアン捜索、スタート!』

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