第78話『唯一』!

 ……さて、ここからの俺の使命は、『ダルメシアン』を発見し次第、無条件で破壊していく事……だ。


 ……ところで……ダルメシアンってどんな奴らなの?


 しまったあ! 


 ……俺は両手で頭を抱えた! ……慌てて地球を飛び出したまでは良かったけど、この後、どうやって『敵』を発見したら良いんだあ〜?


 俺はダメ元で、モニターに表示されている『ゆうきちゃん』に『ダルメシアン』について聴いてみた。


『ダルメシアン(英: Dalmatian)(クロアチア語: Dalmatinski pas)は、イヌの品種の一つ。白黒の模様が特徴的だが、茶色のブチを持ったダルメシアンも存在する。ディズニー映画『101匹わんちゃん』のモデルとしても有名……』(ウィキペディアより抜粋)


 ……ですよね……。


 と、とにかく……先ずは『サルタヒコ』の位置を特定する為、ひたすらダルメシアンのウィキペディアを朗読している『ゆうきちゃん』のトークを止めようとした……のだが……


 ……!


「『ダルメシアン』とは、特務機関ひと〇〇まるまるのアドヴァンス・セクションです。 かつての特務機関との最も大きな違い……それは『ダルメシアン』は『老い』さえも克服した『100%』を超えた能力を有する『AI端末のみにより構成されています』


 ちょっと待て! これって……浅利さんが言っていたほうの『ダルメシアン』の事じゃん! 


『ゆうきちゃん』は淡々と話し続けている。


「……現在行動中の『ダルメシアン端末』の総数は101体。 そのうち、彼等の『抹殺目標』である『東矩とうがね祐希ゆうき』を補足しつつある端末が5体。 ……補足完了まで、156分52秒……」


 何で『ゆうきちゃん』はこんな情報を知っているんだ?


「……私は『東矩祐希』の所在が不明になってから一定期間が経過すると、現在稼働しているあらゆるコンピュータの『中央演算処理装置』に、密かに常駐させておいた『諜報プログラム』により全ての情報を共有するように、彼女にプログラムされておりました。 ……そして……」


 一瞬、間が空き……


「そのデータ全てを『東矩祐希』が唯一信頼している『とある人物』と共有する事を命じられていました」……と言った。


 祐希さんが……唯一信頼している……人物……?


 俺は、恐る恐る……『その人物……とは?』……と聴くと『ゆうきちゃん』の顔が、車内の中央モニターに大きく表示され、笑顔で言った……


 『……法外ほうがい かけるさん……貴方です!』

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