第54話 え〜っ!

 ……俺はタクシーの中から、知り合いに電話し、ある約束を取りつけた。 ……そして茨城県の、とある『施設』に向かって貰った。


 タクシーを降りる時、運転手さんに「お、お客さん、耳から血が出てるよ!?」……と言われ、触ると確かに指に血が付いた。


 運転手さん……脅かしてごめん……。


 ……適当に誤魔化して、入口の守衛室に向かう。


 怪訝けげんな顔をした守衛さんが……「間もなく終業時間になりますが……急用ですか?」と聴いてきた。


 俺は、すかさず身をかがめ、準備していた紙袋から何かを取り出すフリをして、以前『k.k』さんから貰った『100%音をさえぎる』耳栓をした。 そして、タクシーの車内で通話した『ある人』にスマホを通じて「お願い!」……と叫んだ


 電話の相手は『鵜目』さんだ


 ……耳栓のお陰で俺には全く聴こえなかったが『駄洒落を言うと、聞いた相手が100%フリーズする能力』を持つ『鵜目うのめ』さんの能力が発揮され、守衛さんを始め、周りに居た人々全てがフリーズしている! ……相変わらず壮観だ!


 ……等と見惚れている暇は無い。 


 耳栓を外し、施設の『業者用通用口』に駆け込んで、頭に浮かんだキーナンバーを押した……。


 ……が!


 開かない……


 う! 嘘!


 え〜! な、何で〜!?

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