第49話 『緒』!

『ダルメシアン』? ……何処かで聞いた事があるな……。


「……コードネームは『特務機関ひとまる1ひと』……オレたち『特務機関ひとまるまる』のアドヴァンス・セクションだ」


 ……ん? ……もしかしたら『101』→101ワンちゃん→101ダルメシアン……って事ぉ!?


 ふ ざ け す ぎ !


 浅利さんが続ける……


 「『ダルメシアン』は、オレたち『1〇〇』、更に、その前身である『能力科学研究所』……コードネーム『特務機関九十九つくも』で培ったノウハウを凝縮した機関だ」


 99→100→101 ……確かに進行アドヴァンスしてるね。


「それって、俺たちの能力に何かを加えて強力にした『機関』って事?」


「そうだ。 神余かなまりさん……短歌で未来を100%予測する能力者……が、一時行方不明になった事から『老い』や『死』にすら左右されない『100 %』を実現すべく、急遽創設された機関……だ」


「し、死なない……100 %能力者……!」


「……その『100%』を超える能力者……が『1〇〇』を熟知している東矩とうがねを捕えようと動き始めた……らしい」


「……いや、浅利さん……今、何も感じられない俺が動くより、その『ワンちゃん』に任せた方が完璧なのでは? だって仲間でしょ?」


「法外さん、『ダルメシアン』は、恐らくヒトでは無い……。 恐らく、動物でも無い。 オレたちの調査では……何らかの『装置』だ。 更に、調査によると『銃器申請』が了承されている。 もし、奴が先に東矩を発見したら……その場で……」


 そ……そんな……


「それが『ダルメシアン』の恐ろしい所だ。 どんな無法な事を行っても『自動装置による事故』……しかもオレたちですら、奴等の全貌は知り得ないから、責任の所在も有耶無耶うやむやで終わってしまう……だろう……」


『プチッ』……俺の頭の中で、何かが切れる音がした……。


 そんな勝手な理由で、命を奪う?


 ……。


 へえ〜。


 面白い。


 お も し れ ぇ な ぁ!


「……浅利さん」


「ん?」


「……色々、情報を有難う。 もう、大丈夫。 ……後は俺が……東矩さんを……助けます」


 俺は、そう言って電話を切り、部屋を後にした。

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