第35話 駄洒落!

……『K.K』さんの骨導音声が聴こえた!


法外ほうがいさん、ありがとう御座います。 ず第1段階は成功です。」


 ……!? もう終わったの?


「はい、『鵜目うのめさん』の能力のお陰で……!」


 ……振り返ると、受付のかたが自動ドアの前で座り込んだまま……動かない!?


 鵜目うのめさんは茶目っ気のある笑顔で「私が駄洒落を言うと……ああなっちゃうんです⤴!」と小声で言った。


 時間にすると、1分じゃくくらい……か? 気が付いた受付のかたは、何事も無かったように、こちらに歩いてきた。


「では、私は自動ドアのキーを作って来ます。 一度イヤープラグを取って、鵜目うのめさんと、マイクを使って、皆さんを椅子にご案内して下さい」


 自動ドアの鍵は、伸縮するキーホルダーにジャラジャラ付けてあるうちの1つだろう。


 この人がフリーズしている間に、型取りしたのか……! 完全に『スパイ《ミッション》大作戦インポッシブル』の世界だ!


『100%、じゃんけんで負ける』!

『100%、ビンゴがかぶる』!

『100%、駄洒落を言うと相手がフリーズする』!



 ……いやはや何とも……。


 ……将来、何かで有名になっても、映画化はされねぇだろうな、こりゃ……。




 施設の職員さんが、入園されているお爺さんお婆さんを並べて椅子に座らせて行く……。 鵜目うのめさんも楽しそうに皆さんを座らせている!


 俺も、耳栓を外してポケットに入れながら手伝った。


『K.K』さんが、いつの間にか戻って来て、笑顔で一緒に手伝ってくれている。 ……鍵は完成したのかな?


 そ、それと、目的の人はこの中に居るのか? ……それとも、やっぱり居ないのか?


 

 ……さっき迄の『嫌な感じ』は、今は収まっているが……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る