第24話 選ぶな!

「もう1つ、試してみましょうか」


 ……と言って、浅利さんがカバンから紙コップを出して、目の前に5つ並べた。


「じゃあ、法外ほうがいさん、後ろを向いて下さい」


 ……俺が後ろを向くと、紙コップの音がして……「良いですよ」……と、浅利さんが声をかけてくれた。


「この中に、ひとつだけ、お通しの『ピーナッツ』を入れておきました。 直感で選んでみて下さい」


 ……何か嫌な気分だ……!


 俺の直感は『選ぶな!』と言っている


 ……なんだ?






 ……当てずっぽうにひとつを指差した。




 開けると……




 ……『から』だ!


「じゃあ……これ!」


 ……それも『から』だった……。



 浅利さんが「答えは……」


 ……全く見当違いの場所が正解だった。



 浅利さんは……


「本当に知りたければ『Y.T』さんに聴くのが一番なんでしょうが……」


 ……と言って座り直し……


「もしかしたら『本人が知ると消える』能力なのかも……知れませんよ……」


 ……と、少し怖い目で言った。



「そ、そうですね……は、はは」



 ……浅利さんが、いつものトボけた顔に戻り……「さあ、余計な事は忘れて飲みましょう!」


……と言って、店員さんを呼び、レモンサワーを頼んだ。


 俺はグレープフルーツサワーを頼んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る