第25話 ベロンベロン!

 ……だいぶ暗くなり、浅利さんも茹でダコみたいな真っ赤な顔になってしまったので、そろそろ帰る事にした。


 席を立つ前、俺は浅利さんに……


「そう言えば、浅利さん、下のお名前は?」……とスマホを出しながら聴いた。


「『篤郎』す……。 俳優の『渡部篤郎』さんと同じっすよ」


 俺が入力していると……


「可笑しいれしょ? 『アサリ』が『あつ』ろう……って」


 ……この人……明日仕事、大丈夫かな……?


「ははは」……と空笑いを返して、今回は俺の奢り……って事で二人分の会計をした。


 浅利さんはフラフラしながら手を振っている。


「大丈夫ですか?」……俺が心配して聴くと……


大丈夫らいじょぶ大丈夫らいじょぶ! タクシー拾ってかえりまふ!」


 少し安心して「お気を付けて!」と言って別れた。


 今度、浅利さんと飲みに行くのは、休日前にしよう。




 ……俺は、途中のコンビニでペットボトルのお茶と、明日の朝食分のパンを買って、部屋に戻った。





**********


 同刻、特務機関:コードネーム『1〇〇ひとまるまるのコントロール・ルームに直通電話が入った。


「はい、『Y.T』です」


「『A.A』です。 任務完了ミッションコンプリート……偽装工作により、被検者サブジェクトの疑問払拭は成功successと思われる。以上オーバー……」

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