第22話 破綻!

「今回のミッションはこれで終了です。 私は事後処理を行いますのでお帰り下さい」


『Y.T』さんはそう言って、再び建物の中に入って行った。


 ……時計を見ると、3時23分間……30分も経っていないうちにミッションが終わってしまった。


 この辺りはコンビニも無いので、家に帰る事にした。




 ……部屋に戻り、布団に潜り込んで考えた。



 俺の能力……『じゃんけんに、必ず負ける』……は、『本当の能力』では無かった。


 確かに今回のミッションでは、選択肢がいくつもあった。


 ……初めは『上か下か』の2択。 ……これなら、俺が選んだものと逆に行けば『ニッコリ』……。


 さて、次からが問題だ。


『左? 前? 右?』……俺は『前』を選んだ。


 ……じゃんけんで、『パー』を出したと過程しよう。


 俺が負ける手は『チョキ』ひとつ。 『グー』を出せば、勝てる……『グー』以外、選択の余地はない。


 ところが……だ。


 三叉路だとしたら、俺が『前』を選べば2つ、道が残る。 ……ここで次に『左? 右?』と言う質問が来ない限り、確率は『50%』になってしまう。


 ところが、直後に来た質問は……『左? 前? 右?』 つまり、この時点で、『100%』は破綻している訳だ。


 ここで俺は『右』を選んだ。進む道は『左』か、『前』……確率が更に減る…。


 なのに『ニッコリ』


 次は、もう一度『左? 前? 右?』……『右』を選んだ。 …『ニッコリ』 


 その次は、事もあろうに『①? ②? ③? ④? ⑤?』! ……『①』を選び…『ニッコリ』

 

『左? 右?』……『左』を選び……『ニッコリ』


 ついには『左上? 右上? 左下? 右下? その他?』……『その他以外』を選び……『拍手』



 少々間があって『赤? 青?』……『赤』を選択して『ニッコリ、お辞儀』で終了……。



 ……俺は起き上がって、紙に正方形をいっぱい書いて検証したが……紙に書ききれなくなって断念した。 どう動いても、最後の『赤? 青?』一点に辿り着けない!




 導き出される答は3つ


 1、俺と同じ能力者が、天文学的な数、存在する。


 2、正しいルートを選べる『能力』者がいる。


 3、俺が、正しいルートを選んだ。


 ……以上。


 1の場合……俺と同じ能力者が天文学的な数いたとして、その一人一人に100万円ずつ配っていたら、一秒で世界恐慌が起きる!


 或いは『Y.T』さんたちの超科学オーバーテクノロジーで、俺のクローンを天文学的に作成出来たとしたら、俺を夜中の3時に起す必要はないだろう。……よって却下。


 2の場合……もとから俺は必要無いから却下。


 ……となると……3の『俺が正しい選択をした』って事になる!


 しかし、これと『じゃんけんで必ず負ける』は、矛盾してしまう!


 ……俺は、すっかり目が冴えてしまった。


 俺の『本当の能力』って何なの!?


 だ、誰か教えて〜〜!

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