第4話 憤怒
「ぎゃああぁ………ッ!」
小百合の部屋の中にこびとにされた男性の悲鳴が響き渡る。
「……………。」
ぐりっ
「ぎッ!えぇぇ………ッ!」
小百合の足の下では100分の1サイズに縮められた男性が、足の親指と人差し指の隙間から顔を覗かせて苦悶の表情を浮かべている。
彼の目は小百合の目を見つめており、明らかに助けを求めている形相だ。
「……………。」
ぐりっ
「ぎ。」
ぷちっ………
だが小百合はそのまま足に体重を乗せ、こびとの男性を踏み潰してしまった。
そしてぐりぐりと足で踏みにじり、男性の身体の痕跡がなくなるまでひたすら繰り返した。
小百合は怒っていた。
とても機嫌が悪かった。
学校から帰る途中、見知らぬ男性にぶつかり尻餅をついていたのだ。
小百合とぶつかったその男性はただ一言「ちっ……ちゃんと前見て歩けよ。」とだけ言ってその場から去っていった。
よそ見はしていなかった。
むしろ前から歩いてくる男性に対して避けて通るように少し幅をとっていた。
それなのに男性は歩きスマホをしながら小百合の方へと進路を変えてぶつかってきたのだ。
普段は温厚で大人しい小百合だが、自らぶつかってきた男性の態度にイラッとしたのだ。
小百合は家に帰った後自室に直行し、直ぐ様先程の男性を縮小転送した。
そして怒りのままに彼を踏み潰したのであった。
小百合は静かに怒るタイプだ。
苛つくとスンッと無表情になる。愚痴を吐くことはせずに無言で怒りを自制心の器に溜め込んでいく。
そして徐々に自制心の器が怒りで満ち溢れていき、怒りが器から零れ落ちた瞬間に小百合の自制心はストレス発散するまで全く機能しなくなるのだ。
そうなったが最後、感情の抑制は全く効かなくなり小百合の気が済むまで大虐殺が繰り返されるのだ。
小百合がキレた日は最低でも数百万程の命が散る。この男性は今日繰り広げられる大虐殺の記念すべき1人目に選ばれたのだ。
「……………。」
男性の痕跡が消えてなくなり、足を止める小百合。無表情のままじっと床を見つめている。
数秒後、目を瞑り縮小転送能力を使って足元に数十人のこびとたちを呼び出した。彼らも先程の男性と同じく100分の1サイズだった。
彼らはまだ状況を把握しておらず、辺りをキョロキョロと見回していた。
その中のひとりが100倍サイズの小百合に気付き、情けない声を上げる。
周囲の人々も各々が声を上げて、小百合の反対側へと逃走を図っている。
「……………。」
その様子を見ていた小百合はゆっくりと右足を上げると、足元のこびとの集団めがけて踏み下ろした。
ズシィンッ!!
「ぎゃあッ!」
「ひいぃッ!」
静かに下ろした素足の下で数人のこびとたちがブチブチと潰れていく。
誰もがその圧倒的な体重を支えることが出来ずに小百合の足の裏のシミと化していった。
「……………。」
しかし小百合の顔は相変わらず無表情のままである。
怒りはまだまだ沈んでいない様子だ。
ズシィンッ!!
ズシィンッ!!
ズシィンッ!!
ズシィンッ!!
今度はその場で足踏みをする小百合。
彼らの足では小百合の足元から離れることすら出来ず、上から落ちてくる巨大な素足の下敷きにされていった。
端から見るとただ小百合がぺたぺたと足踏みをしているだけなのだが、足元ではこびとたちが次々とミンチにされていた。
あっという間に足元のこびとは全滅し、床にはいくつもの赤いシミが出来ていた。
「……………。」
小百合は再び目を瞑ると、能力で足元にこびとを召還した。
サイズは同じだが、人数は軽く千人を超えていた。
そして先程と同じく足を振り上げた。
先程と同じ足踏みだ。
ただし一切の加減なし、全力での足踏みで。
ズッドオオォォォオオンッ!!!!!
全力での踏み込みは華奢な身体の小百合から放たれたとは思えない程の威力だった。普通サイズの身体でもかなりの痛手を負う程だ。
そんな足踏みを100分の1の大きさしかないこびとたちが受けて無事で済む訳がなかった。
足の真下にいたこびとたちは自分らの死すら理解出来ずにぺしゃんこにされていた。
床に散らばっていたこびとたちは全員が宙に放り出された。こびとたちにとっては数メートルも上空に浮かんだような感覚だっただろう。
受け身の体勢もとれずにそのまま床に打ち付けられ、運の悪い者は頭から落ちて脳天をかち割り、首を骨折して即死した。
運の良かった者は全身複雑骨折し息も絶え絶えだった。
たった一踏みで半数近くのこびとが命を落とした。
そして小百合の足踏みは終わっていなかった。
ズッドオオォォォオオンッ!!!!!
ズッドオオォォォオオンッ!!!!!
ズッドオオォォォオオンッ!!!!!
ズッドオオォォォオオンッ!!!!!
渾身の踏み込みを連続する小百合。
彼女はまだ形を保っているこびとめがけて足を振り下ろし続けた。
こびとたちはまともに逃げられないまま何度も大地震に見舞われ、小百合の素足に蹂躙されていった。
千人近くいたこびとたちはまたすぐに消えていなくなった。
「……はぁ……はぁ………。」
こびとを全て踏み潰した小百合は肩で息をして呼吸を整える。
がむしゃらに動いたからか、額から汗が流れ落ち衣服も若干蒸れていた。
「ふぅ……………。」
落ち着きを取り戻し、すぐさま縮小転送を行う。
次のこびとたちは1000分の1サイズにまで縮められていた。2センチにも満たないこびとが約10万人、床にびっしりと敷き詰められている。
小百合はその場でしゃがんで足元にいるこびとの群れを手で鷲掴みし、そのまま口の中に放り込んだ。
こびとたちは小百合の健康的な歯でぐちゃぐちゃに噛み潰され、胃の中へと送られていった。
その様子を見ていたこびとたちは一斉に発狂、1530メートルの巨大少女である小百合から逃げ出した。
しかし周りは大勢のこびとで埋め尽くされており、逃走は困難を極めた。
その間にも小百合は次々とこびとたちを掴まえては食べ続けていた。
一心不乱にこびとを喰らうその様はまさに怪獣そのものである。しかしその姿はどう見ても若い女の子。
こびとたちの脳では理解出来ない異常空間みたいに感じたことだろう。
「ひいぃッ!た、助けてぇッ!」
「喰われるッ!嫌だ嫌だーーッ!」
こびとたちはどんどんと数を減らしていき、部屋の床一面にいたこびとの大群はあっという間に最後の集団まで減らされてしまった。
最後のこびとたちは噛み潰されずにそのまま丸呑みにされていた。
彼らは血肉にまみれた口内を通り過ぎ、咀嚼された人々の欠片と共に活発化している胃の中へと堕ちていった。
小百合の胃酸はまだ生きている彼らを容赦なく消化していく。生きたまま溶かされる恐怖に怯えながら、残り僅かな余生を少女の胃の中で過ごしていった。
「………けぷっ。」
部屋中のこびとたちを全てたいらげ、小さなゲップをする小百合。
腹を満たしたおかげか、少しばかり表情が穏やかになっていた。
「……………。」
だが虐殺はまだ終わらなかった。
小百合は最後に100000分の1サイズのこびとたちを呼び出していた。
その数なんと一億人。
10万分の1サイズにされた人々は最早小百合の肉眼では視認することが出来ず、微生物も同然の大きさだった。
更に彼らは転送能力の応用により、集合体となって一本の円柱形へとなった。
密集したこびとたちは何が起きているのかまだ理解していなかった。
何故大勢の見知らぬ人々がいるのか。
何故寄せ集まってぎゅうぎゅう詰めにされているのか。
そしてここは一体何処なのか。
それを知る時間さえ与えられずに彼らは小百合の超巨大な手に取られた。
円柱形の表面側にいる人々は小百合の手があまりにも大きすぎて、それが人間の手だとは認識出来なかった。
巨大な隕石のような物体が生物のような動きで接近し、自分たちに触れる。
少々乱暴に手に取ったせいか、かなりの人数が小百合の手の皮膚の表面に磨り潰され、山脈のような指紋の谷間へと入っていった。
円柱形の塊はそのまま握り締められ、いつの間にかあらわにされている小百合の汗ばんだ陰部へと運ばれていく。
極小サイズの人々は遥か遠くに見える巨大なクレバスへ自分たちが近付いていくことに気付く。
そのクレバスは普段とても身近にある物体で、人によっては顔を近付けることもある部位である。本来なら興奮してもおかしくない場所だが、桁違いのサイズで迫ってくるその異常さに全員が恐怖を覚えた。
そしてそのクレバス、即ち小百合の陰唇がぱっくりと糸を引いて開いた時、彼らは規格外の大きさの女の子の慰物として捧げられる自分たちの残酷な運命に気付き泣き叫んでいた。
小百合は約一億人のこびとで形成された玩具を、自らの膣へと挿入していった。
「……んっ………。」
円柱形のオモチャは小百合の膣の中にすっぽりと入ってしまう程小さかった。
一億人といえど、所詮ミジンコサイズの集まりだった。
つい先程まで無を貫いていた小百合の表情が崩れ、本能のままに性欲に従う少女の顔へと変化する。
くちゅくちゅといやらしい水気を帯びた音だけが部屋の中に響く。
存分に怒りをぶちまけ、空腹を満たし、性欲を発散させる。
ひとりの少女のストレス発散の為だけに、一億を超える尊い人命が儚く散っていた。
「あふん……んんっ……ッ!」
次第に呼吸が荒くなり、こびとで出来た玩具の動きがより激しさを増す。
もちろん膣内のこびとたちが無事である筈がなく、災害に合うかの如くスピードで無惨に死んでいく。
広大で柔らかい膣壁もこびとにとっては強靭な筋肉の塊であり、膣壁の小さな突起ひとつだけで数千人の人々が磨り潰されていた。
加えて愛液という名の海が押し寄せ、数十万単位で卑猥な液体の中で溺死していくこびとたち。
女の子の自慰で数多の命が消えていった。
「あぁんッ!あッ!ああぁぁあッ!!」
あられもない声を上げる小百合。
億単位のこびとを使用したオナニーは初めてだったが、一国レベルの人数をイケないアソビに使っているという事実が、小百合の気分をより昂らせていた。
快感に身を委ねて一気に膣を締め上げる小百合。
絶頂を迎えた膣内は急速に収束し、ぷにぷにとした質感だった膣壁が鋼鉄のように硬質化していく。
膣内で地獄の苦しみを味わっていたこびとたちは、極限まで締め上げられた膣壁によってまとめて圧死という呆気ない最期を迎えた。
※
「いってきま~す!」
自宅を出て学校へと歩きだす小百合。
気分は好調、いつも通りの明るい表情で登校していた。
昨晩の発散により、小百合の自制心の器は元通りになっていた。
これでしばらくは堪忍袋の緒が切れることはないだろう。
しかし決して油断してはならない。
次に小百合の怒りが爆発するのは誰にもわからないのだ。
いつ小百合の元へと連れていかれるか、我々人類は常に怯えながら日々を過ごさなければならないのだ。
もしも前方から女子学生が歩いてきたら、細心の注意を払った方が良いだろう。
その少女は、もしかしたら小百合なのかもしれないのだから。
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