第17話 出会った人の話 ユウイチ編

マッチングアプリでユウイチとやりとりし始めたのは私が離婚調停中の時だ。


私は新しい場所で新しい仕事を始めていた。

そこの同僚達の間で流行っていたのが件のマッチングアプリだ。

当時は海外で火がつき始めたくらいで、帰国子女の同僚が外国人との出会いを求めてやり始めて、だんだんと職場の独身達に広がり、外国人やクリエイティブな職種の人と出会えるということで私も勧められたのだ。


初めてのマッチングアプリで少し警戒していた私は、ガツガツとすぐに会う約束をとりつけようとしてこないユウイチに好感が持てた。


実際、ユウイチ以外にマッチした男性の中には私が一人暮らしと知るやいなや、家に遊びに行きたいなとど言い出したので即ブロックしたケースもある。


そんなこんなで、ユウイチと初めて会ったのはやりとりを始めてから3ヶ月後だった。


恵比寿で待ち合わせをして、雰囲気のいい焼き鳥屋に入った。ユウイチは決してイケメンではないが、優しそうなオーラが漂っている。

中堅どころの広告代理店に勤務しており、トークが面白く、気前も良かった。


私は、あるな、と思った。

なので、きちんと現在離婚調停中であることを話した。元夫と別れてから初の機会とあって、どんな反応があるか緊張した。


「子どもおらんのやろ?そんなん普通の独身と一緒やん。それに、そっちの方が信用できるやん。次は失敗せんように慎重なるやろ。ちゃんと付き合ってくれそうやん!」


それを聞いて、バツイチの引け目が飛んでいき、私のユウイチへの好感度は爆上がりになるのだった。


その夜は終電を逃してしまったが、ユウイチはなんと私の最寄りの駅までタクシーで送ってくれた。

片道一万くらいするのに…。

そして、普通に自分の家に帰って行った。


ユウイチに「俺の彼女になって」と言われたのは、3回目のデートの帰りで、私の離婚が成立した翌日だった。

きちんと順序を踏んでの流れに誠実さを感じていた私は、頷いて返事をした。

このユウイチとの交際が後に大きなトラウマになることをこの時私は知らなかった…。





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