第12話 答え合わせ
彼から急に今日帰国するという連絡が来た日、私は休日でいきつけのマッサージ屋に予約を入れていた。
私がマッサージを受けてお店を出ると、彼が迎えに来ていて、晩御飯を食べに行こうと言った。
二人でよく行っていたハワイアンのハンバーグ屋さんで、私はどうして急に帰国したのか聞いたら、後でちゃんと話すから今はまずご飯を食べようと彼が言ったので、彼がいなかった間の他愛のないエピソードを話しつつ食事を楽しむことにした。
この時点ではまだ、彼に不信な思いを抱きつつも久ぶりに会えたことに嬉しさを感じていたと思う。
帰宅後、お風呂から出た私は化粧水を塗りながら、平然とした感じで切り出した。
「で、なんで急に帰って来たの?」
「まあ、寝ながら話そうか」
これまでのもやもやを抱えていた私は、良くない予感も察知していた。
「内容によっては、ここで寝させないけど?」
私の言葉に急に正座をする彼。
「…女性問題を起こして帰国しました。」
「離婚する。」
もう記憶が定かでないけど、私の即答に彼は驚いたような顔をしていたと思う。
でもその時の彼の心境は知らない。知ることが出来なくなってしまった。
なぜなら、私の離婚するという言葉で彼はもう別人のようになってしまったから。
夫婦ではなく他人になった瞬間だった。
私はこの時のことを後悔している。離婚という結果は変わらなかったと思うけれど、もっと彼の言葉に耳を傾ければ良かったと。すぐに離婚と私がシャッターを下してしまったことで、彼の心も閉じてしまったのだ。
私も私で冷静だったわけではなく、怒り狂った。彼は私が怒って喧嘩になった時のなだめ方を知ってた。これまでなら泣きわめく私が落ち着くのを待って、話を聞いて、謝ってくれてポジティブな言葉をかけてくれて抱きしめてくれた。
なのに、その日、私の怒りから逃げるように彼は実家に帰っていった。
彼が家を出た後、私は怒りにまかせて泣きながら彼の残していった荷物を漁った。
中国に持っていったスーツケースから、現地の恋人との思い出の品が出てきた。
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