第11話 さよならcolor
私は今、まー君と離婚してから知り合った人にかれこれ4年以上片思いしている。
先日、友人ととあるイベントに行ってきた。
静岡県の御殿場にある複合施設で、冬場はイルミネーションが煌めき、近隣にあるアウトレット効果もありクリスマス付近になるとデートスポットとして賑わう場所での開催だった。そこはまー君との思い出の場所でもあった。
まー君と付き合って初めてのクリスマスだった。
特に何をするとか約束していなかったので、クリスマスといってもいつもの朝だった。
でもその日、まー君は朝が弱い私がいつ目覚めるのかそわそわして待っていたのだと思う。
私が目が覚めると、にこにこして
「サンタさんが来てるよ!」
とまー君が言った。そんなこと言われたのは小学生以来だ。
まー君が指さしたテーブルの上に小さい箱と手紙があった。
中にはDIORのイヤリングが入っていた。私の耳にはピアスの穴がしっかりと開いているのだが、
「みつきがいつもどっちをしているかわからなくて、店員さんに聞いたんだ。これならどっちでも着けれるって言ってたから。」
とまー君が言うので、女性のファッションに疎いのに考えて選んでくれたことがうれしくなった。
と、同時に私はプレゼントを何も用意してなかったので気まずい気分に襲われた。
さっそく私はイヤリングと着けて出かける準備をした。
「まー君のプレゼントを選びに行こう!」
車好きなまー君にリンカーンナビゲーターのラジコンを無事プレゼントしたあと、ドライブをした。まー君はなんだかんだプランを決めていたようで、イルミネーションを見に連れて行ってくれた。
寒かったけれど、好きな人と初めて過ごすクリスマスは幸せだった。
プレゼントを交換しあったのもイルミネーションも初めてだった。
大勢の人の中で、はぐれないようにしっかり繋いだ手に力が入る。
ぎゅっと握るとぎゅっと握り返してくれる。
嬉しくなって、まー君の横顔ばかり見てしまう。
愛しいってこういうことか。
イルミネーションのトンネルがドラえもんに出てくるタイムトンネルみたいだ。
これを抜けたら、まーくんはいなくて、私の不毛な片思いの相手が私に背を向けて歩いている。
さよならから始まることがあるんだよ。
私がいるのは時空の狭間か??
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