第2話 α波への道

 催眠術は技術です。

 見様見真似でできなくもないのですが、理屈を知ることで技術自体が向上します。


 前回は脳波をざっくり解説しました。

 αアルファ波~θ《シータ》波へ狙って誘導するのが催眠術です。


 脳波は意図的にコントロールすることが可能です。

 自分の動作によっても他人からの刺激からでも、脳波は意図的に操作することができます。


 まずは日常のβベータ波がどうやってαアルファ波になるか考えてみましょう。


 脳みそがαアルファ波を出すタイミングは、

 ・リラックスした時

 ・身体が解れた時

 ・疲れた時

 ・集中した時

 ・驚いた時

 ・緊張し始めた時

 などで、出る状態になります。


 リラックスor疲れた時はゆっくりと移行して長時間αアルファ波が出ますが、驚いたときは一瞬~数秒だけ出ます。


 また、αアルファ波は

 ・思考がきっかけ

 ・身体がきっかけ

 の2つのパターンがあります。


 上記だけでも6x2で12パターンの誘導方法があります。

 思考がリラックスするとってなんだろう?

 身体がリラックスするとってなんだろう?

 ってご自身でパターンに合った経験を積んでください。


 身近なもので瞑想(マインドフルネス)があります。

 有名な技術ですが、どうしてそれでαアルファ波が出るのでしょうか?


 瞑想(マインドフルネス)は身体と思考の両方がリラックスする状態をつくる技術です。

 マインドフルネスはざっくりと、『姿勢を整え、呼吸を整え、雑念を払う』ことで瞑想を行うことだと思います。

 これを分解すると

 ・姿勢を整える ⇒ 身体リラックス

 ・呼吸を整える ⇒ 身体が解れる

 ・雑念を払う  ⇒ 思考リラックス

 になるかと思います。

 この3点で催眠誘導でのαアルファ波が出る要件を満たすことになります。

 ビシッとはまるとαアルファ波よりも深いθ《シータ》波の瞑想状態へ自分で誘導することができます。

 ここに暗示を入れれば、自己暗示もバシッとハマります。


 催眠術ではタイミングときっかけの組み合わせを把握しているだけなんです。


 そして不思議な事に誘導されてαアルファ波が出た場合、誘導した存在を受け入れてしまう傾向があるようです。

 催眠術師は当然ですが、美しい景色や音楽、信頼できる人なんかがそうです。

 活用したものは恋愛、勧誘、商売、宗教など様々なシーン・技術があります。

 催眠術では意識や感情の揺れ動きよりも、今脳がどのような状態にあるのかを意識することで誘導率が向上します。


 脳波から見るとどんな手段であれ、

 βベータ波から始まり、

 きっかけを作ってαアルファ波に誘導、

 αアルファ波が出ている状態を定着させる。

 という流れになります。


 催眠術に限らず、人の印象をコントロールしようとするなら、この状態のイメージがあると関係が作りやすくなります。


 難しい用件を食後に話すテクニックがあるのはご存知でしょうか?

 消化ってかなりのエネルギーを消費します。

 食後に眠くなるのは、他の機能を休めて消化へエネルギーを振り分けようとするからです。

 そこで睡眠へ移行しようとしてβベータ波からαアルファ波へと変化します。

 この時、食事からαアルファ波へ移行しているのですが、脳が錯覚して催眠誘導と似たような催眠術師とクライアントのような関係を作ってしまいます。

 結果、難しい要件が通りやすくなってしまいます。


 理屈を知ることは、異世界転生の魔法で酸素など元素についてのイメージができたほうが、魔法の威力がアップすることと同じです。

 威力を増したいのであれば、なんとなくではなく理屈を一度は知る必要があります。


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