その6④「音ゲーでぎゅっとしちゃおう? 1」
さあさあやって参りました。
オタクどもが蔓延るこの音ゲー界隈に‼‼
休日はたまに来たりしているとはいえ、僕自身はあまりうまくはない。だからと入って、地味にカッコ悪い姿を見せるわけにはいかない‼‼ まさにヤマアラシのジレンマ状態‼‼
いや、違うか…………って、そうじゃない‼‼
それどころじゃないんだよ‼‼
この場に今の状況を共有できる友達がいないのは凄くもどかしいのだが……。
今まさに、音ゲーコーナーに侵入した僕と地味の二人。
いやはや、僕の予想が甘かったのかもしれない。
もう一度言おうではないか。
僕の予想が甘かったのかもしれない。
さてさて、なぜ今。
僕たちがこの場に立ち止まり、ギョッとした目をしているかというと————原因はもちろん、僕ら二人。
音ゲープレイヤーにより睨まれている。
「へ?」
「あぁ……うぅ」
それも、この場にいる全員からである。
聞くが皆は———―こんな話を聞いたことがあるだろうか?
昔の僕のような人間が多めなこの界隈で彼女の様な女性を連れている男性を見ると陥りがちな考え方を。
これは断じて偏見ではない。
僕が、身を徹し、中学生の頃、感じ、思い、そして周りも同じように考えてきたことである。
空想? 想像? 虚像?
なんすか、虚像って? ——って思ったクソkids共は僕を含め、出ていってほしいのだが——そんなことは置いておいて、だ。
僕も同じように生きてきた時代があったから分かる。
その考え方というのは単純明快。
もしかしたら、もしかしなくてもリア充ではない人間の半数以上が陥りがちな現象だ。
『リア充爆発しろ』
それ以外はない。もしもあるならば「リア充消えろ」「リア充爆散しろ」「リア充はめぐ〇んの爆裂魔法で消えちまえ」「リア充ほいほい」「リア充は世界の敵」「エロは世界を救う」……等々。
そんな思いをすべて足して二乗したかのような視線が僕と地味に向けられていた。
それはもう、怖がる地味。僕も僕で息がつまるような思いだったのだが、未だ人に見られるのが慣れない地味にとっては凄まじくきついものだっただろう。
「……っ」
アウターの茶系の服を震わせ、唇が震えている。
しかし、彼女がしたいと言った以上。デートを誘った本人が怖じ気づくわけにはいかない。僕は彼女を隠すように身を寄せて空いている台まで向かった。
「————だ、大丈夫か?」
「っう、うん……」
「ま、まぁ——こういうこともある……よな。ほら、切換えてやるべっ!」
未だ怯える地味の体を覆い囲むように、僕たちはその小さな空間に入り込んだ。
いやぁ、しかし。
おっぱいのせいで目が見えない、てへっ!
次回へ続く!!
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